イデオロギー的選挙総括はナンセンスでは?

 参院選の結果を見て、安倍カラー、「美しい国」的なナショナリズム路線が否定されたという総括を、主に左派ブログで散見されるが、はたしてどうであろうか?
 参院選では安倍内閣年金問題や政治とカネの問題の火消しに追われ、「安倍カラー」どころでなく、憲法も教育も安全保障も争点にすらならなかったのである。争点にならなかったものを、選挙結果で断ずるのはナンセンスである。
 実は郵政選挙の時も、小泉自民党の圧勝の結果を以って靖国派の勝利のような総括をする右派ブロガーがいたが、全く同じ誤りをしている。郵政選挙はシングルイシューの選挙で、イデオロギー的問題は争点ではなかったからである。
 私は、まだナショナリズム的なものに国民がシンパシーを抱く状況が生まれる可能性があると考えている。正確にはシンパシーというより許容に近い感覚であるが。ただ安倍内閣が続く限りはその可能性はないと思う。
 倫理を説くものは、自ら高い倫理観を示さなければならない。倫理観に欠ける閣僚が多数いる内閣がいくら倫理と言っても全く説得力がない。教育議論などされても当然説得力がない。軍事機密がいとも簡単に漏れるような危機管理をしていて、安全保障だと言われても全く説得力がない。つまり頼りないリーダーが保守的な政治を行って支持される可能性はゼロに近いのである。頼りな気なリーダーでも、まだリベラルな政治を行えば少しは支持される予知があるのであるが…。ただ強いリーダーが登場し、ナショナリズムを説いた場合に、日本国民はシンパシーを抱く可能性はあるし、シンパシーを抱かなくても、そのリーダーの指導力に期待し、多少イデオロギー臭いことでも許容してしまう可能性が高い。
 自民党惨敗に浮かれている左派は、もう少し空気を読んだほうがいいと思う。