90年代的ロジックを懲りずに使う日経新聞がウザくなってきた。

 今日の日経社説はかなりウザい。

釈然としないタクシー値上げ(8/29日経社説

 タクシー料金の値上げが相次いでいる。今春に長野、大分両県で実施されたのに続き、秋田など3県の値上げも近く認可される見通しだ。
 タクシー会社は「燃料代の高騰に対応し、さらに近年大きく落ち込んだタクシー運転手の年収を引き上げ、生活改善を実現するため」と主張している。が、値上げによって利用者のタクシー離れが起これば、生活改善は絵に描いたモチに終わる。
 加えて今のタクシー市場は、需要を超えるペースで車両台数が増えており、供給過剰の状態にある可能性が高い。市場メカニズムに従えば、値段が下がるはずのところを、逆に値上げするのは、消費者の立場からすればやはり釈然としない。

 消費者の味方ですみたいな偽善振りがウザい。これは90年代に散々見られた偽善だ。アメリカは日本の消費者の味方を装いアメリカ産農産物を日本に押し付け、政財界やマスコミは価格破壊を実行する流通業者を消費者の味方と称えた。
 結局、安売り実現のための低賃金労働者確保→安物しか買えない層の拡大→安売り屋の増大→ という労働ダンピングデフレスパイラルに拍車をかけたのである。
 これには日本を二重経済化したいという新自由主義者の思惑もあった。日本もアジア諸国のように金がなくてもそこそこ暮らせる国にすれば、低賃金労働者層を安定的に確保できる。財界には願ったりだ。 

 消費者に負担を求める値上げでなく、顧客の満足度を高め、市場全体のパイを広げる中で、運転手の待遇改善をはかっていくというのが、本来の道筋である。

 顧客の満足度が上がれば、消費者は値上げに納得するのでは?
 それにタクシーの需要を増やすべきという考えには反対。夜の繁華街にタクシーが溢れかえっている状況がいいのか?安いからといってタクシーが気楽に利用されるようになる社会がいいのか?
 短距離は歩けばいいし、電車やバスを使えばいい。そもそもタクシーが需要拡大を喚起すべき産業なのか?