一巨他党が是〜読売イズム〜

 自民党支持者の中でも二大政党支持者とそうでない人がいる。「内の人」は半永久政権を願っているかも知れないが、取り巻きの支持者の中には、自民党はたまに調子に乗ったり、堕落するので、緊張感を与える意味でも政権交代可能な二大政党があった方がいいと考えている人も少なくない。
 90年代以降の保守二大政党待望論も、多くは財界などの自民党支持勢力の中から生まれた。
 財界の意見に近しい日経新聞などはこのような空気を反映する報道姿勢を取ったが、読売だけは違った。新生党新進党民主党などに期待するような姿勢はほとんど見せず、一貫して自民党支持を貫いた。
 読売の姿勢は自民党の「内の人」に近いのではないか。自民党の半永久的政権維持を願って、その他のオプションは期待していない。
 今回の政変劇も、大連立を組んで民主党が政権の一翼を担い経験を積んだ方が、政権交代の近道ではないか?というのが誘い水であった。一部の政治評論家やホンネでそう思っているかは別として自民党議員の一部が異口同音にこのことを唱え、小沢一郎が釣られたのである。
 しかしフィクサーナベツネは、政権交代の必要性など毛頭も考えていない。自民党中心の政権が永続するための補完勢力を探しているに過ぎないのだ。 
 彼の思想は「一巨他党が是」という点で一致している。政治もそうだが、野球も然り。読売巨人軍という全国区で最もファンが多く最高の選手を寄り集めたチームが常勝し、人気を牽引すればプロ野球は安泰であるという発想である。失敗に終ったが、サッカーに関しても読売ヴェルディを全国区の人気独占チームとしようと試み、チーム名にフランチャイズ地名を入れることを拒み続けた。
 常に絶対的に強く正しいものが牽引するのが是という思想は、彼が青春時代に多大な影響を受けた思想の賜物に他ならない。しかしその思想に基づく政治体制は崩壊し、球界は魅力を失い欠け*1、政治は堕落したのだ。
 もうこれ以上、時代遅れの思想を誇示するフィクサーの暗躍を許してはならない。

*1:最近地域に根ざしたチーム作りを進める球団の台頭により救われつつあるが…