官が痛む政策をやらずに国民に痛みを伴う政策のみ継続する政権

 なぜ食費や燃料費が高騰している今になって、生活保護削減かと思う。
 そもそも社会保障費の削減は小泉政権時代の2004年の骨太の方針で打ち出されたものだ。小泉元総理は「聖域なき構造改革」をスローガンに改革に邁進している最中で、これまで自民党政権ではタブーとされた「特殊法人」や「特別会計」にメスを入れようとしていた。
 それまで「社会保障費」を聖域と考えていいた元々左寄りの人の中にも、小泉の改革に対する熱意に負けて、「我々も社会保障を聖域とは言ってられない」と社会保障費の削減に理解を示す人も現れたのである。このような現象は郵政選挙の少し後まで見られた。
 選挙後に小泉改革の矛盾点が色々と指摘されるようになる。俗に言う「小泉改革の影の部分」だが、それより今の政府の対応をより問題視したい。構造改革のうち、特殊法人改革や特別会計改革は完全に後退し、社会保障費の削減だけが着々と進んでいるのである。
 福田内閣はパフォーマンス抜きに地味にそこそこの成果を挙げてくれるかと思ったが、現状では何をしたいのか全く見えない。過去の政権の改革路線を修正するのか継続するのかもよくわからないまま、適当な修正だけが進んでいるような気がする。現状では『官僚や省庁の嫌がる改革をやらないで、国民に痛みの伴う改革のみ続行する政権』との烙印を押されても仕方あるまい。