全国紙の増税マンセー一色は異常。新聞は死んだ。

 元旦に読売、産経の保守紙2紙が相次いで消費税UPを是とする社説を発表した。実は昨年に左よりと言われる朝日、毎日も消費税UPを是とする社説を発表している。政治の舞台では、民主党増税なしに特別会計一般財源化と歳出削減で社会保障費を捻出すると主張している他、自民党内ですら増税を是とする財政再建優先派と歳出削減と景気回復で税収を確保すべしという上げ潮派が対峙しているのに、マスコミが一極に偏っているのはシラケも甚だしい。なぜこのような不毛な状況になったのか?
 そもそも増税に対する考え方にねじれが存在する。日本で保守本流と呼ばれる自民党内の官僚出身者を中心とするグループの基本思想の中に「国民が嫌がる政策を、丁寧に国民に説明して理解して実行できる政治家が素晴らしい政治家である」というものがある。一方、55年体制下で野党は一貫して増税反対の立場を取ってきた。日本国内では与党=保守=増税は是/野党=革新=増税反対 という構図にある。
 ところが世界のセオリーは、保守主義=小さな政府=低福祉低負担=増税は悪/社民主義大きな政府=高福祉高負担=増税は是 というのが常識である。日本の構図と世界のセオリーでねじれ現象が起きているのである。
 恐らく、読売や産経は古い日本の構図を堅持して、保守の立場から増税が是であると主張し、朝日、毎日はリベラルの立場から世界のセオリー通りに増税を是としたために、同じ主張になってしまったのであろう。
 また新聞の社説を書く論説委員レベルの記者はベテランで80年代前後に出世コースである与党や官邸担当として走り回っていた面々である。おそらく自民党保守本流的思想に洗脳され「国民が嫌がる政策を、丁寧に国民に説明して理解して実行できる政治家が素晴らしい政治家である」と信じている人が多い。
 この思想は間違っていないがいや待てよ!官僚や支持母体が嫌がる政策を実行できる政治家の方がより評価されるべきではないか?増税すれば、歳出削減を無理にやらなくても済むし、公共工事の予算も確保しやすくなる。増税は官僚やゼネコンとの関係を維持できるイージーな政策なのではないか?
 新聞社のお偉方は頭を冷やして、染み付いた過去の常識を洗いざらいして出直した方がいい。