ノイジー・マイノリティーに翻弄される与党議員と地方首長

 与党議員や地方首長は口々に「道路に対する要望は非常に強い」と言う。しかし世論調査では道路は十分整備されてると認識している有権者が多数で、道路建設の優先度は低い。
 道路建設を要望する陳情勢力は典型的なノイジー・マイノリティーである。彼らはそのノイジー・マイノリティーに惑わされて、民意を読めなくなっているのである。野党にはあまり陳情が来ないのでノイジー・マイノリティーに惑わされることは余りなく、また与党と違って公務に追われる議員が少ないので、有権者の声を直接聞く時間のある議員が多い。
 与党議員や地方の首長も野や山に分け入って民の声を聞くべきなのだが、公務で忙しいので、なかなか主体的にそのようなことをやらない。当選回数の少ない与党議員は暇もあるはずだが、そのような議員は党内で発言力がないので、せっかく拾った有権者の生の声がなかなか届かない。
 これを解消するには簡単で下野すればいいのだ。台湾の国民党は2000年に下野して以降、徹底的に国民の中に入って、国民の声を聞き、新たな政権構想を練って今年政権に返り咲いた。本当に自民党のことを考えて蘇生を願うのであれば、下野して数年間徹底して野で国民の声を聞いて新たな政権構想を立ち上げることを考えるべきであろう。
 といいながら、長年のしがらみで、昔ながらの支持者の声しか聞かないような気もしないでもない。それではそのまま衰退消滅の道を歩むだけである。台湾国民党も数年間は与党癖が抜けずに脱皮できなかったようだ。5年くらい冷や飯を食えば、脱皮せざるを得なくなるのではないか。