誰が中川昭一を殺したのか。〜保守政治家という辛く厳しい立場〜

 保守主義とは高い規範意識を求める政治思想であります。洋の東西を問わず、我々は規範主義から少しずつ自由主義に移行してきましたが、保守主義は多かれ少なかれ、過去の規範主義を重視し、日本も例外ではありません。
 保守主義者は規範主義を理想とする以上、自らも規範的でなければいけません。ところが日本の場合、保守主義を標榜する政治家のモラル崩壊が目に余りました。安倍学級崩壊内閣を始め、身贔屓公私混同の激しい石原都知事、酔っ払って海外の文化財をいじりまわした故中川元財務担当大臣も例外ではありませんでした。みな若者をビシビシ鍛えるべきだと勢いのいいことを言う割に、自分たちは全く模範的でなかったのです。
 中川元財務担当大臣にはご冥福をお祈りしますが、故人をマスコミバッシングの被害者であるかのように語る論調には違和感を禁じ得ません。マスコミを賛美する気はさらさらありませんが、規範意識の低い自称保守主義者が道徳を語るほど滑稽なことはありません。世論が違和感を表明するのはむしろ当然です。
 保守政治家という立場は実はとても辛いのだと思います。保守を標榜する以上、高い規範意識を求められます。また保守政治家に期待する有権者は例外なく政治家に強さを期待します。保守政治家は有権者の「正しさ」と「強さ」に対する期待に応えないといけないのです。自民党の保守政治家の多くはこのプレッシャーに勝てなかったのでしょう。保守政治家を潰すのはマスコミでも左翼でもないのです。