どうする成田・関空 問題は都心から遠いことでも発着料が高いことでもない。

本来は東京都心から遠くても発着能力の高い24時間空港を作るべきであった。

 前原国交相の羽田ハブ化発言を受けての議論で、どうも成田が都心から遠い、或いは発着料が高いことを問題にしている議論が多いが、この二つは大した問題ではない。
 成田空港の失敗は滑走路が少なくて発着能力が低いことと、24時間空港でないことに尽きる。都心から遠いということを考えれば韓国の仁川空港も同じで、都心から遠いことは国際ハブ空港たる上でさしてハンディにはならない。発着量の高さも、日本に立地しているというアドバンテージを考えればある程度許容される。現に成田空港はデルタ航空が以遠権を利用してハブ空港化している。この地位は地理的な条件を考えても旅客需要を考えても他の空港に代替し難い。
 前原大臣は成田が都心から遠いからダメなどと考えて羽田ハブ発言をしている訳ではない。羽田空港の方が拡張余地があるので、羽田空港ハブ空港化しようと言っているのだ。もちろん成田に発着している国際線を羽田に移すという話でもない。そんなの物理的にムリである。
 世界をみるとロンドンもパリもニューヨークも国際空港を複数抱えている。東京の場合も羽田と成田を併用してダブルハブ空港として活用するしかないだろう。

  • 成田空港 ハブ:アジア―成田―北米 欧州線 太平洋線
  • 成田空港 ハブ:日本国内―羽田―アジア 欧州線(夜間)、太平洋線(夜間)

関空と伊丹の棲み分けは

 関西空港の軍用空港化するという手もあるが、今さらそうもいかないだろう
 JALは経営再建策として搭乗率の低い関空発着路線を廃止すると言う。ただJALの再生のために伊丹集中化が必須かと言えばそうでもない。鉄道と競合する羽田、福岡、熊本、鹿児島、松山、出雲、松本は伊丹発でないと競争力が低下し、JALの経営再建に悪影響が出るが、それ以外の空港は空路以外に競争相手がいないので、別に関空発にしても搭乗率はそう下がるわけではない。今では一つの空港から伊丹行きと関空行きが並存しているので、伊丹便に乗客が集中してしまうだけだ。伊丹空港を近距離便専用空港として遠距離便は関空神戸空港からしか発着できなくすればいい。
 羽田空港を国際ハブ空港化すると関空の地位低下は避けられないだろう。ただ羽田便のない花巻、仙台、福島、新潟と西日本やアジア・太平洋といった独自のネットワークを作ることが可能だ。
 現在、関空発着に限って、外国の航空会社に国内線を開放することが検討されているようだ。そうなると、アジア―関空―仙台、アジア―関空―札幌といった経由便が運行され、JALANAコードシェア便として日本人が国内線区間だけの利用も可能になる。この施策も発着本数の確保には役に立つであろう。