自民党起死回生の道―地方分権を徹底的に後押しすること。

 民主党マニフェストは優先順位が曖昧で、相互矛盾するものも多い。その際たるものが地方分権である。もし民主党政権地方分権を最重要課題と掲げるのであれば、マニフェストには地方分権とだけ謳い、外交や防衛を除く事項は「それぞれの地方が決めること」として関知すべきでない。
 子ども手当ての支給も、高校の授業料の無償化も、高速道路の無料化も、ガソリン税暫定税率の廃止も、農家への所得保障もそれぞれの地方自治体に任せるべきだ。
 まあそれをやらないのは、地方自治体の首長がほとんど自民党系で議会も自民党が多数派で、今地方分権をしたら実質自民党政権に戻ってしまうから、民主党は矛盾承知で中央集権的な政治運営を敢えて行っているのは重々承知だが、矛盾は矛盾だ。
 自民党民主党の政策にストップをかける役割でなく、地方分権に関する政策を促進させる作戦に出ればいい。地方はまだまだ自民党優位が続くであろうが、民主党政権が長く続けば少しづつ地方での自民党優位も崩壊する。自民党は急がねばならない。
 もし地方分権が進めば、地方は中央におべっかを使う必要がなくなるから、地方選挙での民主党のアドベンテージのなくなる。かつては地方への予算配分が自民党の権力維持装置であったが、下野した今となっては逆転の発想が必要である。
 地方分権が確立した暁には、自民党系の首長は大手を振って「コンクリートから人へなんて糞喰らえ」と、社会保障予算を抑制してでも公共事業に注力することも可能になる。それがその自治体の住民の民意であるのであれば、それはそれで構わないのだ。公共事業を抑制して社会保障を充実した自治体と、社会保障を抑制してでも公共事業を優先させた自治体とどちらが豊かになるか、社会実験が行われるのも悪くない。