雇用なき(賃上げなき)景気拡大でも、景気が回復しないよりマシと思って諦めるしかないのか

今度の総選挙の結果を以って、民主党のデマンド型政策は効果がないと断罪され、再びサプライサイドの景気刺激策に軍配が上がるであろう。
 実際にはサプライサイドのトリクルダウン理論など誰も信用していない。いざなき超え景気で、雇用も賃金も増えなかった日本国民はサプライサイド理論に反感すら抱き、国民への直接給付などのデマンド型の政策に魅力を感じ、3年前に民主党を選んだのである。
 デマンド型が効果がないと断罪されることに納得いかない有権者も多いかも知れないが、納得していない人が子ども手当を貯金せずに消費に回したかと言うとそれは疑わしい。残念ながらサプライサイドの方が100%お金を市場に回せるのに対し、デマンド型は一定額貯蓄に回わってしまう。
 我が家でも、妻にさんざん「子ども手当は貯金するな!貯金したら子ども手当は効果がないから廃止という結論になるぞ!」と説いたが、まったく理解してもらえず、国からもらったお金は貯金されたままである。
 安倍自民党の国土強靭といった政策がどこまで効果があるかはわからない。仮に効果があって景気が回復しても、今度もまた雇用なき(賃上げなき)景気拡大になる可能性は高い。自民党政権が今度はいつまで続くか保証はなく、仮に続いても小泉政権のように擬似政権交代で政策がガラッと変わってしまうリスクもある。建設業もうかつに雇用を増やせない。ましてや景気拡大が建設業以外の業種に拡大しても、企業は賃金抑制の手を緩めないだろう。
 ただ企業収益は少しはよくなる。それで税収が上がれば、財政再建のための増税を少しは遅らせることができるかも知れない。
 我々の生活が豊かになることはもはやない。サプライサイドの政策で生活は豊かにするクスリではないが、もしかしたら悪化を止めてくれるかも知れないのでとりあえず選ぶ。そう割り切って安倍政権時代を過ごすのが精神衛生上よろしいのではないか。