隠し剣 鬼の爪

最近、毎週月曜日に映画を観るのが習慣になってしまっているが、今週も映画館へ。
今日は山田洋次監督の「隠し剣 鬼の爪」を観る。
 藤沢周平の原作は読んでないが、「隠し剣鬼ノ爪」と「雪明かり」の二つの作品をうまく綯い交ぜし、より魅力的な本に仕上げてたのは見事。同じ作者の小説のせいか無理もない。
 安っぽい時代劇だと、原作はとかく男のロマンを描いているのに、映像化するのに女がいないのでは色気がないと、無理矢理女の登場人物を挿入したり、ラブ・ストーリを挿入するケースが多々あり、原作を台無しにしがっかりすることが多かった。この映画はもののふの生き様と純愛をともに活かしていると思った。
 「ご命令なら仕方あるまい」という台詞がやけに印象に残った。身分や主命といった絶対的なものをごく自然に受入れながら、私情を露呈することなく、わずかに垣間見せる世界は、日本人でないとなかなか理解できないのではと思った次第。