憲法について

 憲法記念日になると、新聞に各社の世論調査が載るのが恒例となっている。この新聞の世論調査ほどインチキ臭いものはなく、「憲法を一字一句変えるべきでない」と質問すれば、ほとんどの人がNoと答えるし、「憲法戦争放棄の理念は継承すべきだ」と質問すればほとんどの人がYesと答えるのである。ようはいくらでも誘導尋問が可能な訳で、その結果を単純に改憲・護憲にまとめて数値化する作業は非常にばかげている。
 そうは言っても、中身を見れば自衛隊の存在は明記すべきという意見が大勢を占めているのは事実であるし、その為には条文の改正が必要であろう。単純に世論調査改憲派が多数だとか、国会で護憲派が少数に転落したからといって改憲の決議が進むとは思わない。これまで護憲か改憲かの択一論に終始していて、改憲の中身が議論されていない。実施には自衛隊の存在は追認するが、基本的に平和憲法を守りたいという現実派から、集団的自衛権明記派、憲法には明記しないが先制攻撃も自衛の一つと考える積極防衛派まで意見まで幅広い。恐らくぼんやりと改憲でひとくくりされていた意見は実は多種多彩で、実は理念もばらならではないか?そろそろ、改憲の中身に議論を移し、そろぞれの理念を明らかにしたほうがいいのではないか?
 そして憲法の条文が改正された以上は、自国の憲法を敵視することは絶対止めるべきだ。今は日本国憲法アメリカの押し付け憲法*1だと敵視する人も多いが、憲法は国家存在の基盤であり、自国の憲法をけなすのは国旗をけなすのと同じである。また、改正された暁には憲法拡大解釈や歪曲もやめるべきでろう。ころまでは拡大解釈を仕方なくしてきたかも知れないが、それを習慣化してはならないし、どうしても現実に合わなくなれば改正議論を起こせばいいと思う。既に集団的自衛権積極派の中には、これは国民の多数の支持を得られないので、解釈改憲で行えばいいと考えている方々がいらっしゃるのが気がかりである。集団的自衛権の行使が必要と考えるのなら、正々堂々と意見を申せばよかろうに。

*1:そういいながらアメリカに協力するための憲法改正研究をしている方もいるので滑稽だが