退路を断った自民党

 小泉自民党の手法はある意味、非主流派の切捨てである。あそこまで徹底すると自民党内に非主流派が存続する余地がなくなる。これは自民党の純粋化であると同時に、これまで自民党に活力を与えてきた擬似政権交代システムの放棄にもつながる。このシステムがなくなると自民党に失政があったら、自民党内での政権交代が難しくなり、下野し本格的政権交代しか選択肢がなくなる。
 一方で自民党の世代交代はなかなか進まない。今回の造反劇と刺客候補の擁立はある意味新陳代謝に貢献するであろうが、このような選挙区は全体の1割に過ぎない。自民党はあと2回の選挙で候補者の新陳代謝を行わなければかなりまずいことになる。今は民主党政権担当能力を不安視する声が大きいが、このまま自民党が新陳代謝を行わなければ、自民党政権担当能力の問題の方が大きくなってしまう。今回の規模の新陳代謝では不十分である。