愛国心や立身出世よりヲタク

 今、子供たちの学力低下を嘆く声が大きい。確かに最近の子供は勉強しない気はする。確かにいい大学に入って一流企業に入れば安泰というセオリーが崩れ、子供に勉強する意味を説明できないという話もあるが、はたしてそうであろうか。戦後教育で子供に愛国心が教えられていないから勉強しないんだという乱暴な意見さえもある。愛国心に燃えて勉強するのは、それこそロボットコンテストで眼をギラギラさせている発展途上国の学生ぐらいであって、富国強兵の時代ならともかく、今さら愛国心を持ち出して学力向上に結びつけて話すのは先進国ではあまり意味がない。
 お国のためという意識がなくても、勉強して立身出世が約束されなくても、今の日本はきちんと勉強している人は勉強しているのが救いである。自分の研究したいことがあれば比較的それに打ち込める環境が整備されているのが日本にはあるのが強みである。ただ残念なのはそれを見つけられないで勉強するモチベーションを得られない人が多いことである。*1教育者が周囲が勉強するモチベーションを古い時代のものに未だ求め、本来の学術の悦びを伝えられないでいるのである。それは先代の人間が国のためだったり、自身の立身出世だったり、学問の外に勉強するモチベーションを求めていたので、本当の学問の悦びを知らない*2からである。
 若い人にはぜひ、何か特定分野でいいので打ち込んでヲタクのようになっていただきたい。本当の学問ヲタクは決して国のためや立身出世のために勉強している人には負けないはずである。

*1:別に万人に専門的研究をしろと言う訳ではないが。

*2:たぶん私も知らない。