アメリカの80年代モデルが参考に

 90年代に日本で起きた労働環境の劇的変化は、80年代のアメリカモデルの焼き直しである。当時国際競争力を失い双子の赤字に苦しんでいたアメリカはITという高付加価値産業と流通業という低付加価値産業を勃興させて復活したのである。競争力を失った製造業で働いていた人間を再教育してIT等の高付加価値産業に異動させ、またこれまでマンパワーに依存しそこそこ高付加価値労働者が必要であった流通・外食などの産業を徹底的にマニュアル化し、単純労働者でも可能な業務とし、移民等の受け皿にしたのである。そして従来その分野にいた労働者をより付加価値の高い産業に異動させたのである。これが労働経済的な切り口でみた80年代アメリカ復活のシナリオである。