さっぽろを元気にする路面電車検討会議

 こういう会議があると聞いたので聞きに行く。
とりあえず札幌市電は残すことに決まっているらしいが、年々乗客が減っているので、市としては厳しい財政下なにとかしたいらしい。どうも論点がどうやって観光客に乗ってもらうかという方向に行きがちで、沿線が普通の住宅地である札幌市電の現状から見て違和感があった。
 現実的には人件費の話がやはり出た。札幌市電の平均年収が800万円で、民営の他都市の路面電車の運転士は300万円代らしい。特に市電を残したい人から言えば、市電が人件費倒れで廃止されたのではたまったものではないという気持ちはわかる。
 しかし年収300万円代じゃあまっとうな暮らしはできない。日本は公営企業が率先してブルーカラーの人件費を引き上げ、世界的にも例を見ないブルーカラーとホワイトカラーの待遇格差のない社会を築きあげてきたのだが、モータリゼーション規制緩和少子化と続き、公営企業が維持できなくなり民間委託等の動きが盛んである。結局、交通産業従事者の低賃金化が進んできた訳である。
 昔に戻すのはムリなのは明白ではあるが、小泉がよく言う「民でできることは民で」というのはつまるところ、低付加価値労働/単純労働の低賃金化なのである*1。から、もう少し広い見地で考える必要がある。
 あと欠けるのは札幌市のグランドデザインとの整合性であろうか。ヨーロッパで成功しているLRTのモデルは、都市計画の一環として捉えているものである。既存の市電の沿線は、札幌の都市計画の中では無策の地域というのが何より気がかりであった。

*1:先の選挙でそのような産業に従事する人が率先して小泉自民党に投票する姿は自殺行為であった。