単純労働者の人件費がアップすると

 労働集約産業に従事する単純労働者の賃金が上昇すると、それは格差社会是正という面では歓迎すべき面もあるが、実は様々な影響が起きる。

  1. 物流コストアップによる企業のコスト増。
  2. 一部ホワイトカラー(営業職など)の労働集約産業への移行。

 別にタクシー会社が多く潰れて、タクシー料金が上がっても社会への影響はそれ程ないのだが、トラック業界は影響が大きい。原材料輸送や製品の工場から都市への移動は鉄道や船など、人件費の影響の少ない輸送手段へ移行すれば若干は回避できるが、末端の小売店舗等トラック以外では輸送不可能なので他産業への影響は免れない。
 2はノルマの厳しい営業職などに身を置いている人間が、労働集約産業の待遇改善が起こると「気ままさ」に惹かれて異動する現象である。営業職の現象は企業の営業力に直結し深刻である。営業職の待遇を改善させればいいが、優秀な人材が営業職から労働集約産業に流れるのは経済的、国富の面から考えてもマイナスである。