ライブドア事件顛末

 ここ数日のエントリーは、ほとんどと言っていい程ライブドアホリエモンについて触れられている。この問題は経済問題であり社会問題であり政治問題であると同時に芸能ネタでもあるので、多くの人が関心を持つのは当然であろう。
 そして堀江がいい悪いといった単純な議論にならないのもこの問題の特徴のよに思える。様々なエントリーを斜め読みする限りでの切り口はこんな感じである。

  1. 堀江スケープゴート説Ⅰ(堀江擁護派) 旧体制の陰謀。
  2. 堀江スケープゴート説Ⅱ(反小泉派) 政権にとってより深刻な問題である耐震強度偽装問題から国民の目をそらす陰謀。
    • 自民党は利用するだけ利用して見捨てるか?といった意見もあるが、建前上三権分立なので、地検の捜査を政権の裏切りと言うのは稚拙だ。
  3. 政治批判中心 堀江は悪いが、堀江を社会的認知を手助けした自民党の責任を問うもの。
    • 彼を絶賛した武部幹事長への批判も多いが、堀江的なものと小泉的なものの類似性を指摘するものも多い。私も思想及び手法の類似性を感じる
  4. マスコミ批判中心 堀江を時代の寵児としてもてはやしたのははマスコミである。掌を返したようにバッシングを始めるマスコミへの嫌悪感を表明するもの。
    • マスコミなんて所詮そんなものと達観している人も多いが。
    • 堀江とライブドアの売名行為に利用されたマヌケなマスコミという見方もできる。テレビを見て堀江氏に肯定的イメージを持った視聴者がアホなだけ?
  5. 批判への批判 ライブドア事件に便乗してマネーゲーム規制緩和まで悪いという言い方や他のIT企業やヒルズ族を同一視する人を批判するもの。
    • 昔から赤いものが悪いと言えばピンクやオレンジまで一括りに批判する人は昔から多い*1
  6. 批判政治批判(与党支持派) この事件を自民党批判に利用しようとする野党を批判*2
    • 自民党を批判することを批判する人が近頃多い。自民党支持なのはわかるけど「拉致被害者バッシング」の「小泉首相に感謝しろ」世論以来、ちょっと気持ち悪い気がしている。
    • マスコミが堀江を持ち上げるのと、政権中枢の人間が持ち上げるのは意味が違うからな。政権が持ち上げるのは「お墨付き」だから、古典的な「お上」意識を持った人間に対する効果は無視できない。

 最近の問題は黒か白かといった単純な議論ばかりでつまらないものが多かったのだが、この事件に関しては切り口が多様で面白い。
 ブログ界は根拠のない陰謀論のようなものが飛び交いがちで、私はあまり好きではないが、野口英昭氏が堀江の刺客に殺されたという陰謀説も飛び交っているようだ。
 それにしても堀江擁護、或いは一部擁護の意見がことの他多いとの実感。ブログユーザーと堀江イズムの親和性を物語っている。

*1:こういう乱暴なロジックは伝統的に極右・極左に多い

*2:野党は与党することを非難すると言うことは、野党はいらないってことになるのだが…