高学歴タレントを必要とするテレビ界

 久々に芸能ネタ

 ジャニーズの人気グループNEWSの加藤成亮青学大法学部法学科に進学することが27日、発表された。同大の中等部、高等部に通学し、大学進学試験審査の結果、内部進学者として合格通知書をこの日、受け取った。「法律は社会に出ていろいろなことにかかわってくる」と法学部を選択。高等部時代の好成績が合格につながった。司法試験を受けるつもりはないが「カバンに六法全書を入れて持ち歩くことになりそうです」。
 メンバー7人のうち、在学中も含めて5人が有名大学進学という高学歴グループとなった。加藤は、SMAP稲垣吾郎主演のフジテレビのドラマ「ブスの瞳に恋してる」(火曜午後10時)の出演も決まった。(日刊スポーツ) - 1月28日

 NEWSは意図的にジャニーズ事務所が作った高学歴アイドルか?
 奇抜に見えるが、芸能プロダクションとしては遅きに失した感もある。

昔の芸能界は

 1970年代までは、芸能界に対する偏見が残っており、一般の良家が子女を芸能人にしようとする人は稀で、芸能人になるのは芸能一家の生まれか、余り恵まれていない家庭の子女が多かった。それに芸人に学問はいらないという考えが一般的で、吉永小百合のような例外を除けば、多かれ学には無縁の芸能人が殆どであった。
 80年代になってからは、芸能界への偏見こそなくなってきたが、アイドルの低年齢化により、学齢期に芸能活動に忙殺され、学問はあきらかに疎かにされた。
 実は困ったのはテレビ局であった。男性タレントの場合は、20代後半或いは30代になってから芸能人になる者も多く、学識及び社会常識を備えた芸能人を確保できるのであるが、女性タレントの多くは10代から芸能界入りしているアイドルやアイドル出身者が多く、番組の花以上には使えないタレントが多かった。80年代後半は、音楽番組が衰退し、バラエティー番組もフリートークやアドリブが重視されるようになってきた時代である。いわゆる「気転の利く女性タレント」が絶対的に不足する事態が明らかになった。この市場の穴を埋めたのが「女子アナ」である。特に女子アナをバラエティー番組で積極的に活用したのがフジテレビであったが、これはアナウンサーのタレント化が目的であったのではなく、芸能プロダクションがテレビ界が必要とする人材を育てる気がないことに業を煮やして、自ら必要な人材の育成に動いたのである。この動きは他局もすぐに追随した。

気付き出した芸能プロ

 芸能プロダクションの姿勢が少しづつ改まってきたのは90年代になってからである。それまでの若くて活きのいいタレントを売り出して、賞味期限が過ぎればまた新しいタレントを売り出すという使い捨て方式が効率が悪いことに気付いた。若いうちはアイドル的に売り出し、20代半ばを過ぎてもタレントとして活かそうと考え出したのである。
 ジャニーズ事務所の高学歴タレント育成は何もケレンではない。むしろテレビ界が必要とする人材を育成することを考えれば自然な成り行きである。ジャニーズ事務所もかつては特定のグループをヘビーローテーションさせており、スケジュールを考えればとても学校に行かせる余裕などなかった。かつて酷使した「光GENJI」は学校に行かなかったのが仇となり、みごとにお馬鹿のまま大人になってしまったメンバーが多く、もうテレビでは使えない。
 現在では多数のグループが活躍しており、特定のグループをヘビーローテーションさせなくても収益を確保できる状況にある。長期的視野によるタレント育成が可能になったのである。