「日本の伝統」に対する認識と違い

 「日本の伝統」という概念は極めて主観的なものであり、人によって捉え方の差異が大きい。歴史というものが悠久のものであり、その蓄積の結果が伝統であるからして、「伝統」というものに歴史の様々なエキスが凝縮されているのである。特に明治維新から終戦までに蓄積されたエキスに対する評価で「伝統感」が大きく異なる。
 特に「伝統」という価値を声高に主張する人に。この時代のエキスに対するコミットが高い人が多い。もちろんこの時代はそれ以前のエキスの延長上にあるのだが、「和」より「剛」が強調された*1やや特殊な時代であった。
 「伝統」に対するコミットの低い若い保守層も、この時代の価値観にはよく符合する。一方でもっと普遍的な部分の「伝統」に関する理解は低いと言わざるを得ない。

*1:列強の脅威という時代背景によるものであり、それ自体を否定するつもりはないが