AKB48とは何ぞや

はてなダイアリーで非常に盛り上がっているようだ。元々アイドルヲタが多く棲息していると言われるはてなであるが、久々のヒットか?
 私は80年代ですっかりアイドルヲタから足を洗った*1者だが、80年代的な性格のものが支持される現象は少し注目に値すると見ている。
 秋元康がかつて自身がヒットさせたおニャン子クラブをトレースしていると言われているが、集団ヒット創造には以下の2つのセオリーがあって、何もおニャン子に始まったものではない。

  1. 育成萌え
  2. カテゴライズ萌え/ナンバリング萌え

育成萌え

 敢えて現代風に「萌え」と書いてるが、特に意味はなし。
 育成萌えというのは、タレントをデビュー前の卵の段階から応援することにより、特別な愛情や独占感を得て昇天する感覚である。この「萌え」を積極的に利用したのが宝塚である。宝塚ファン音楽学校の生徒の時代から特定の生徒を応援し、その生徒が大スターになるのを夢見るのである。そしてスターになった暁には、自分はスターになってからの俄ファンではなく、生徒の時から応援していた特別な存在できることに自身を深めるのである。
 これを真似たのがジャニーズである。ジャニーズは本格デビューまでのプレデビュー期間を長く設定し、ファンの育成感の醸造をはかったのである。
 おニャン子クラブは、必ずしも芸能人育成機関ではなかったが、スタ誕以来のオーディションからデビューまでのブラックボックスをオープンにしたと言える。次に誰がデビューするかはテレビ局やレコード会社によって決まっていたのにもかかわらず、ファンは学校で「誰がかわいい」論を繰り返し、自分たちの人気がデビューの決定に反映しているような錯覚を受けたのである。
 初期のモーニング娘においては、寺合宿が育成感の醸造に大きな役割を果たした。ASAYANでまだ候補生の彼女らを応援していた人間は、後からファンになった人間にはない特別な感情を持つことが出来る。
 この「育成萌え」はなにも芸能の世界のセオリーでなく、もっと身近なところにある。それはペットである。犬は子犬の頃から飼うことによって、より深い愛情を得ることが出来る。更には「たまごっち」や「ときメモ」のような育成ゲームにもこの概念は応用されている。
 実はオーソソックスな人間の本能に訴えるセオリーなのであった。秋元康はもっとも重要な「育成萌え」を秋葉原の劇場という空間で育もうと仕掛けたのであろう。

カテゴライズ萌え/ナンバリング萌え

 これは独立した一定規模のヲタク領域には必須のアイテムである。「育成萌え」で取り上げた宝塚、ジャニーズ、おニャン子モーニング娘には、このカテゴライズ萌え/ナンバリング萌えも備えている。宝塚で言えば、組と期。ジャニーズで言えばユニット、おニャン子で言えば会員番号、モー娘で言えば期とユニットがそれに当たる。モー娘の場合はハロプロの中のカテゴリーと見做すこともできる。
 これは独立した一定規模のヲタク領域を整理・統合し、趣味領域をより豊かにするものである。
 これは何も芸能領域の範疇でなく、古くは戦時中の軍国少年が軍艦や戦車や戦闘機の名前を覚えて知識をひけらかし合ったり、鉄道マニアが車両の形式を覚えることもこれに含まれる。
 ロボットアニメ等でも、様々な記号を散りばめたロボットや兵器が登場し、視聴者のカテゴライズ萌え/ナンバリング萌えを昇華させるのである。
 AKB48はどうなのか?とりあえず1軍、2軍*2というカテゴリーが用意されているが、今後グループ内ユニットを複雑に組んで、カテゴライズしてゆくのか?秋元康は当然何か考えているに違いない。
 
 

*1:80年代後半は筋金入りのアイドルヲタであった

*2:まだ2軍はいないようだが