校則とは何か?

 「学校へ行こう!MAX」という番組で校則を特集していた。
 所詮バラエティー番組なので、討論とは言いながら、特異な校則をネタにしているような構成で議論は深まっていないのだが、これを見ると校則が複雑なベクトルが合成されてわけがわからない状態になっているのがわかる。本当に教育上有効なツールになっているのか疑問も沸いてきたのでネタにしてみる。
 どうも校則の存在基盤には様々な考えがありようだ。私が気付いたものを列挙すると。

道徳・モラル準拠論

 社会の道徳やモラルを、学校生活に置き換えてわかりやすくしたものが校則であり、校則を守る教育をすることにより社会で必要な道徳やモラルの教育となる。という説。

校則保護論

 校則は生徒の保護が目的であり、危険性のある行為や行動を禁止することにより生徒を保護するのが目的である。未成年の禁酒や禁煙など保護を目的とした法律と同じ考え。

管理上必要論

 多数の生徒を管理するにはルールが絶対不可欠である。基本的には管理する側の理論。教育を受ける人間のために存在する学校教育でこの理論を持ち出すのは本来矛盾しているが、実社会が働く者の為でなく、経営者或いは顧客のために存在すると想定し、そのために被管理者を予備訓練するという兵学校的理論も成り立つ。

修養論

 厳しいルールを守ることにより、人間的修養となる。宗教と同じ考え。ただ浮世離れしており、この考えで卒業した生徒が常識的な社会人となり得るかは別問題*1


 実際に、学校の校則は一つの理念が貫かれていることはほとのどなく、上記の様々な要素が混在している場合がほとんどであろう。生徒に一言で理解してもらうのは本来難しいものである。
 最も厳しい校則が創出される可能性の高い「修養論」に拠る場合は、「うちの学校は道場です。」と最初からきっぱり言うべきで、コミットを前提しない生徒に守らせることはほとんど意味はない。
 今、世間が学校に最も求めているのが、「道徳」や「モラル」を生徒に教えることである。もちろん家庭教育優先論もあるが、社会の中でのルールは学校で教えた方がいい場合も多い。様々な思想が綯交ぜになって思想崩壊を起こしている校則を守らすということの教育効果については疑問視せざるをを得ない。特に浮世離れした修養論や軍隊的な管理上必要論に基づく教育を受けた生徒が本当に立派なのか?これは運動部員や自衛隊員の多発する不祥事を見ても疑問視せざるを得ないのである。
 むしろ校則は最低限にし、それより普遍的な倫理観の醸造を念頭に教育を行い、それを守うことの重要性を教えた方があるかに効果的だと思う。

*1:厳しい規律を強いられている運動部の生徒が校外で奔放な行動に出るケースが少ない等