体罰について

 次のお題は体罰であった。この問題ほど議論が浅いままに放置されている問題はない。建前上は教育基本法で禁止されているにもかかわらず、昭和の時代までかなり黙認されてきたという不思議な行為なのである。
 議論することさえタブー視されてきた一方、未だに鉄拳制裁容認論みたいなものも根強い。
 ちょうと宮崎哲弥がイギリスやカナダで体罰が復活したという話*1を出したので思い出したが、そもそも階級社会のイギリスでは子どもの教育にも階級差があり、それぞれの体罰のあり方が異なっている。パブリックスクール等ではまず生徒に罪を犯したことを自覚させることを重視し、罪を犯した自覚の上で応報刑的に体罰が与えられる。一方下層階級の子どもたちは頭でわからないので体で言うことを聞かせるのである。これは恐怖を与えて恭順させることであり、教育よりレベルの低い動物の調教みたいなものである。
 イギリスやカナダで復活した体罰はかつてパブリックスクールで行われていた形態で行われていた形態の体罰であることを重視しなければならない。この番組の必要論的な意見で多く聞かれた体罰は下層階級的な体罰であり、ちょっとレベルが低いのではと言う気がした。そもそも日本人の中で寝強い鉄建制裁的な体罰容認論はそもそも旧軍的なものであり、兵隊教育つまり下層階級的なものである。この番組では見る限り教育らしい体罰を論じていたのは教師を引退するというケツバットの斎藤先生とその教え子の話ぐらいであった。
 結論を言えば、体罰が効果を発揮するケースは否定できないが、その指導は極めて高度なコミュニケーションを必要とする教育である。口でわからないから体でというレベルで体罰を行使するような教師には到底体罰の行使を認めるべきでない*2。現状では体罰を行使できるスキルのある教師であるか否かという判断ができないため、YOSAKOIソーランの今村先生の言うように一律に禁止するのもやむを得ないであろう。

*1:宮崎氏の体罰容認はよくわからなかったが……

*2:底辺校では現実的にそんなこれいごと言ってられないという意見もわかるが……