中道批判

 教育基本法改正問題における文脈の中で、よく戦後教育の自由や個人を重視する価値観が批判の対象になる。これらの価値観がまるで日教組が標榜してきたような論を張る人がいるが、本当であろうか?私の経験から言えば違うと思う。自由や個人を重視する人が日教組なら、それは右派であろう。本当の左派は自由や個を余り重視しない。
 自由や個という価値感が左翼が標榜してきたというのは一般的には間違いである。これらの価値観を重視するのは中道左派と右派が多いのである。昭和40年代で見れば、バリバリ政治活動をしていた人たちでなく、アメリカのヒッピー文化の影響を受けたノンポリ学生たちが自由や個の申し子である。立ち位置的に言えば中道左派であろうか。
 あとは経済保守というか親米保守というか、自民党で言えば宏池会のような流れが自由主義的な傾向を見せていたかも知れない。
 以前、立ち位置が極にある人は、中道の人間も反対極にある人間も同一視されてしまう(敵の同一視、天体観測現象参照id:kechack:20060209)と書いたことがあるが、「左翼が自由だ個人主義を植えつけた」という言論をしている人は、まさにこの錯覚に陥っている。批判対象はむしろ中道に存在しているのである。