北朝鮮問題と日本外交

 何かアメリカが急に中国に歩み寄り、日本が孤立して苦境に立たされているように見えるが、根本的にはそんなにおかしなことになっているとは思わない。「制裁決議」のカードは中国に働いているポーズで、元々今回の着地点は「非難決議」で国際社会が一致して北朝鮮を非難しているというポーズを作るところにあるのではないか?それに制裁カードはまだ切り札として持っていた方がいい。「制裁決議」カードは中国へのカードとして使えると同時に、国内向けには政治家が強い態度で外交に臨んでいるというパフォーマンスにもなり自身の人気浮上にも使え、一石二鳥である。
 何か日本が孤立した状況になって、かえって日本の政治家が批判の矢面に立たされるという心配はご無用だ。日本の単純な世論は、国際世論の融和的傾向にフラストレーションを高め、よりタカ派的になり、日本の政治家をより強く支持するうようになる。ただ国内世論を高揚させ過ぎると、政治家が手足を縛られて引くに引けなくなるのが心配だ。

額賀君だけはダメだね。

 麻生外相は結構頑張っていると思うが、額賀防衛庁長官の敵地攻撃発言だけはセンスゼロ。なんとなく中国や韓国がどちらかというと浮いていて、国際世論に妥協を迫られる立場だったのに、結果的に「日本の方がちょっとはしゃぎ過ぎ」のも印象を国際社会に与えてしまった。一応、額賀君も日本が敵地攻撃を実行するメリットがあると考えている軍事素人の訳ではなく、リップサービス*1の一種であったと名誉の為に申しておくが、リップサービスにしてはセンスなさ過ぎ。
 こういうことは国民やマスコミの見えないところでこっそり研究するのが保守政治の英知だったはずだ。昔の有事立法みたいに。そりゃあ名言した方が拍手喝采する国民も多いだろうが、口外する政治家は大抵落ちこぼれ政治家というのが関の山だったのだが……。やっぱり小泉総理が変えちゃったんだろうね。国民はそういうのが好きなんだけど、国民が好むことを言う政治家って2流じゃないか?

*1:制服組或いは国内世論向けの