安倍は民族保守派から距離を置き、経済保守に軸足を移した。

昭和天皇靖国神社メモとスクープと福田康夫氏の総裁選不出馬宣言の絶妙なタイミング。安倍官房長官靖国参拝推進派のシンボルと見做し、昭和天皇靖国神社メモを反安部派の陰謀のような言説をしている人が散見されるが、それはどうもおかしいということになる。
 安倍晋三靖国参拝を支持する民族保守派から距離を置き、経済保守勢力側に軸足を移す画策であったのではという見方もできる。民族保守派寄りの立場は票を集めるのには便利な場合もあるが、金を集めるには財界側の立場である経済保守の立場の方が便利だし、既に公明党抜きには戦えなくなった自民党を考えれば、民族保守派とは距離を置いたほうが得だ。それに今後の北朝鮮問題である程度強硬論を維持していれば、ムリに靖国神社に参拝しなくても民族保守派は自分を支持してくれるという読みもあったのでないか。
 総理の座を目の前にしながら逃した父親の姿を見てきた彼には、つまらないリスクを負いたくないのが本音だと思う。はっきり言って靖国神社に参拝しない方が首相としてラクである。靖国神社を参拝しないリスクは自身の支持母体であるところの保守派を敵に回すところであるが、このメモでなんとなく参拝しなくても安部氏は批判されないで済む方法が取れる。そして財界と公明党の強い支持をバックにした本格政権作りを虎視眈々と狙っているのでないか?あの男は理想主義者の仮面を被りながら、中身はかなりリアリストではなかろうか?