小泉・安倍の政治手法の違い−官僚との距離感−

 小泉首相という政治家は非常にずるい政治家であった。官僚組織の不祥事・失敗さえも彼は自分の加点にしてきたのである。今までの自民党政治ではありえなかったことである。普通は官僚組織の不祥事=大臣の責任=内閣の責任であり、従来は内閣に何らかのダメージを与えてきたのである。
 ところが小泉首相は、官僚を悪役に仕立て、自らはそれを糾す正義のヒーローを演じてきたのである。
 小泉政治の後継者と目される安倍首相であるが、政治手法まではどうも継承していないようである。教育改革のタウンミーティングのやらせは明らかに官僚組織のチョンボだが、文部科学官僚が実施した内容が安倍首相のベクトルと一致しているがために、安倍首相にもダメージになる。
 ようは官僚組織が極めて安倍首相に恭順的なのである。それが故に安倍政権は官僚組織と連座関係に置かれている運命にある。ある意味昔の自民党に戻ったとも言えよう。