慰安婦問題に見る親米保守派の誤算

 慰安婦問題でいわゆる従軍慰安婦の存在を否定する人たちが立ち往生している。それでもいわゆる反米保守派の人たちはアメリカの悪口を言えばいいのだからまだいい。
 困ったのは親米保守主義者だ。現状ではアメリカに対して「従軍慰安婦は存在しなかった。」というメッセージを伝え、それがアメリカ世論に受け入れられる可能性がゼロに等しいからである。今まで威勢のよかった親米保守ブロガーもこの問題での敗北が見えて現実から目を逸らしたいが為にだんまりを決め込み始めている。
 やはり誤算はアメリカ的保守主義を理解していなかったことであろう。親米保守主義者はネオコンアメリカの保守主義者に勝手に近親の情を抱いていたりするのだが、日本の保守主義アメリカの保守主義は「人権」というものを重視するか否かで大きく異なる。日本の保守主義者は「人権」を左翼の価値観と言い放ち軽視するが、アメリカにおいて人権は建国の理念の一つであり、その理念を重視する保守派にとっては決して譲れない価値観なのである。この価値観を軽視するイスラム諸国や中国に対して厳しい態度を取るのがアメリカの保守なのである。
 アメリカの保守派は日本の保守派には親近の情を抱いて等いないであろう。むしろ人権軽視の色彩の強い安倍ブレーンには嫌悪感すら抱いているのではないか。とんだ親米保守アメリカへの片想いである。