実効性疑わしき安倍内閣の公務員改革

 今日配信された安倍内閣のメールマガジンを読んだが、安倍内閣がやろうとしている公務員改革がますますわけがわからなくなった。そもそも何のための改革だったのか?
 官製談合の問題への対応は中途半端なまま、国民受けを狙った勢い任せの「公務員リストラ」を公言し始めた。公務員を叩けば国民が拍手喝采するのは私もよくわかるが、手段が目的化しており、そもそもの問題点はおざなりのまま温存され、したたかな官僚の冷笑が透けて見えるのは私だけあろうか。

いざ公務員改革

 日本の公務員は、戦後日本の発展に大きく貢献してきたと思います。しかし、時代の変化の中で公務員に対する国民の認識も変わってきています。
 バブル崩壊後の厳しい経済状況や、激化する国際競争の中で、民間では、リストラの断行、年功序列から能力本位への転換など、生き残りをかけた努力が行われてきました。にもかかわらず、公務員だけが、誰も責任を問われることなく、時期がくれば昇格する古い人事システムを温存してきました。

 確かに行政官の失策、不作為に関してはほとんど責任を追及さず、それが原因で罰せられるどころか昇進が遅れることもない。公務員にも厳しい結果責任を問われて然るべきという考えには賛同する。
 政府与党が提出している公務員改革関連法案の一つ能力等級法案により、国家公務員の職階制を廃し能力等級制に移行、採用試験区分や入省年次に拘りなく抜擢可能になるとしているが、これによって失策や不作為を咎められて、年功序列的な昇進から排除されるような厳しい運用が為されるのであろうか。
 今後、査定や能力評価のようなことが行われるようになるらしいが、査定するのはあくまでも上司である。役所の風土が変わらなければ、省利・省益に忠実な官僚が評価、抜擢されるだけではないのか?少なくとも、国民が公務員の評価に関ることはできない。国民のために有害な官僚に厳しい評価が下るシステムとはとうてい思えないのである。
 安倍総理のメッセージは国民に過剰な改革イメージを与える誇大広告としか思えないのである。

度重なる官製談合は、公務員に対する国民の信頼を大きく失墜させたと言わざるをえません。世界の中の日本をどうつくっていくかを考えねばならないときに、相も変わらず小さな利益にとらわれ、利益誘導を図る。いつまで、こんなことを繰り返すのか。この体質は、根本的に改めねばなりません。
 もちろん、まじめで優秀な多くの公務員がいます。志の高い公務員が、その実力を遺憾なく発揮できるようにしていく。こうした思いで、公務員制度改革のための法案を今国会に提出しました。

 それって政治家の話ですか?
 「政治とカネ」の問題を放置したまま、公務員改革だけ急ぐアンバランスさには違和感を覚える。官製談合に政治家が関っているのは明らかであるし、政治家による利益誘導など相も変わらずである。官僚をコントロールするのは政治家なのだから、その政治家のモラルが低いまま放置しておかしいと思わないのか? 

この法律によって、各省庁による不透明な天下りあっせんはなくなります。権限や予算と、人事との関係を完全に断ち切ることができます。OBによる利益誘導は厳しく規制し、不正な行為には刑罰をもってのぞみます。

 防衛施設庁のように、省庁ぐるみでOBの受け入れ実績によって落札に便宜を図る論外な行為はなくなるかも知れませんが、OBによる情報収集や現役官僚への働きかけがなくなる担保はなにもありません。官僚OBは「現役官僚への影響力」を期待されて民間企業が厚遇で受け入れるのであるから、この部分を規制されると、官僚OBの労働市場での価値は暴落する。官僚が一番規制されたくない部分なのだが、ここにメスを入れなければ実効性がない。今回の法案はおいしいところは温存している妥協法案と言わざるを得ない。

 公務員が再就職をする場合には、各省庁から独立した官民人材交流センターに一元化し、そのプロセスを透明化します。公務員のリストラを促すためには、むしろ、こうした透明なシステムが必要です。
 「公務員は民間に再就職させずに、全員が定年まで働けるようにした方がいい」という意見もありますが、私には理解できません。

 官民人材交流センターを無理矢理国民受けのいい「公務員のリストラ」の話に結びつけましたね。選挙対策リップサービスですか?言い出したからには、政治評論家に徹底的に5W1Hと数値目標を追求されるでしょうが、ちゃんと責任を負ってもらいたい。
 あと「公務員は民間に再就職させずに、定年まで働けるようにした方がいい」という意見が理解できない真意は?ぜひ国会でこの真意を追及してもらいたい。
 そもそも早期退官などのいった法的に何の根拠もない慣習に拘る官僚とその慣習に理解を示す政治家が理解できない。年上や同期が部下になるとやりにくい等と言うが、能力評価制度を効果的に機能させれば、もっと入省年次が浅い段階で昇進に差が生まれ、人事の逆転が起こるはずである。そんなくだらない理論にしがみついていて公務員改革なんて笑わせる。
 全員残る訳ないのに「全員残すべき」というあり得ない設定を提示して、法律上何の根拠もない早期退官の慣習を温存したいのか

 「行政改革を進め、筋肉質の政府をつくるべき。」これは国民の声です。
 公務員であっても、いや、公務員であるからこそ、リストラから逃れることはできません。公務員が増えて肥大化するのでは、本末転倒です。求められている能力に欠ける公務員には、やはり去ってもらわねばなりません。

 公務員をクビにでいる法律も将来作る気ですか?不祥事を起こした公務員をクビにすることは簡単ですが、能力に欠けることを理由に解雇するのは民間企業ですら難しいのですよ。総理大臣のくせに労働法規も知らないですか?
 安易なリップサービスは止めていただきたい。