参院選の争点 農業問題

 日本で農業問題が選挙の争点になったことがあったであろうか?どうせ農民は自民党支持にきまっているからと、野党はあまり農業問題に力を入れず、自民党も絶対浮気しない相手にはそれほど熱心な政策を施さなかった。
 特に農業票の多い1人区では、自民党民主党の農業政策のビラ合戦が白熱しているようだ。
 ただ両党とも自由貿易主義反対という立場は取らず、関税が撤廃され安い輸入農産物が入ってくるのは止むを得ない、その中でどう日本の農業を維持していくかという路線の中での政策であり、真っ向から対立するものではない。対立軸というのであれば、自由貿易主義に反対する共産党の農業政策の方が対立軸として明確だ。
 自民党民主党の政策の違いは、自民党が農業の大規模化による競争力UPが主眼なのに対し、民主党は農家への所得補償による農業の維持にある。

民主党

「農業をまもりたい人は民主党
http://www.dpj.or.jp/special/bira/images/01/06031P-4P.pdf
http://www.dpj.or.jp/special/bira/images/01/06032P-3P.pdf


 私はどちらが優れているとか、そういう問題ではないと思う。
 財源的に民主党案の非現実性を指摘する声が多いようだが、自民党の方が内容的には革命的であり、現状との乖離が大きい。大規模化すれば自立度合が高まり、財政出動は少なくて済むかもしれないが、農業人口がこれだけ高齢化し、後継者もいない農家が多い中。どこまで大規模化により農業にコミットする若い農業従事者がいるかである。自民党案で補助の対象となるのは4ha以上の農家だけだが、この規模になると兼業農家では維持できない。専業農家として勝負しようという人が出てくる制度にしなければならない。
 私は自民党案も一つの考え方だとは思うが、どうも自民党議員が農業への理解が浅い。その辺、農業問題で自民党が守勢に立たされる理由であろう。だいたい中川幹事長自身が自民党の政策を理解しておらず、こんなことを言っている。



これは丸でアベコベである。自民党案ははっきりと小規模農家の淘汰を意図している。幹事長自ら無理解又は嘘を付くようではダメだ。
 民主党案の方が、現状の日本の農業スタイルの延長線での農業維持を考えたものだが、むしろ経済の専門家から志が低いとの非難を受けるであろう。農業従事者が減る中で、耕地面積を維持するには、ある程度の大規模化もパラレルで行われなければならないであろう。


私個人的には、一つのスタイルに農業を集約させるのはナンセンスだと思う。基本的には4つくらいのスタイルを提唱してはどうか。

  1. 大規模化で価格競争力の向上を目指す農家。
  2. 中小で高付加価値の商品に特化する農家。
  3. 兼業農家
  4. 都市型週末農家



4番が私の意見だが、今の兼業農家よりもっと小さな、自家消費+α程度の生産を行う農家を都市近郊に育成してはどうか。担い手はリタイア或いはセミリタイアした都市の給与所得者である。既に農業人口が300万人を割ってしまった日本において、小規模でも農業生産を行う都市市民がいれば、けっこうなインパクトになるであろう。ドイツやロシアなどではなりメジャーなライフルタイルである。都市100キロ圏に農地付き別荘を分譲してはどうか。
 大規模化も悪くないが、大規模化ばかりが能ではないと思う。