“強くて健全な権力”を信奉するか否かで分類

 一昨日のエントリーで“強くて健全な権力”を信奉するか否かで、保守かサヨクかに分類できると申したが、若干乱暴な区分であったので補足したい。

  • 補足1:保守にもその信奉度合により3つに分類できる。

 “強くて健全な権力”をベタに信仰するのは理想主義的保守主義であって、実際には“権力に依存した方が得だ”という現実保守というものが存在し、そちらの方が多数派である。また依存型でなく自らを“強くて健全な権力である”と豪語する夜郎自大型保守も存在する。
 例えば安全保障を例にすると

理想保守 現実保守 夜郎自大保守 サヨク
積極的親米保守 消極的親米保守 反米自主防衛 反軍事
アメリカの正義をベタに信仰 アメリカに依存した方が得だ 日本には日本のやり方がある 日本には日本のやり方がある

 3分類される保守のうち、野郎時代型保守とサヨクは似ているのではあるが、“強くて健全な権力”を信仰するか否かで袂を別っている。ただ第二次世界大戦のトラウマが消えた頃には、両者の違いが曖昧になり、従来の左右の概念が崩壊する可能性がある。
 またフェミニズムに例えると

理想保守 現実保守 野郎時代保守 左翼フェミニスト
積極的男性依存 消極的男性依存 自立 自立
男性を信用 男性に依存した方が得だ 男性に勝つ ウーマンリブ

 これも3分類される保守のうち、夜郎自大保守と左翼フェミニストの差がよくわからない。前者が例えば高市早苗であり、後者が上野千鶴子だとすると、前者は自ら弱者であることを忌諱し男以上に強がってタカ派的な発言をしたりする。後者は女性が弱者であることを認めながら、弱者としての権利拡張を求める。この辺ははてなキーワードの「フェミウヨ」の項を参照いただきたい。
 何か、夜郎自大型保守が突出していて、従来の左翼フェミニストの方が男性依存型の保守的女性にまだ近いような気がするが、日本では野郎時代型保守女性が左翼フェミを敵視する一方、保守的女性とはお友達感覚(レズ感覚なのかも知れないが…)なので、こういう左右対立の図式が出来上がっている。

  • 補足2:“強くて健全な左翼”というのも存在する。

 日本では左派=合意重視・ボトムアップ型 右派=強権的・トップダウン型 という先入観がある。これは戦後民主主義が合意重視・ボトムアップで、その影響を受けたのが左翼だからであろう。ただ共産党新左翼は強権的・トップダウン型であるし、ソビエト等は究極の強権左翼である。
 ただ日本では革新首長などがみな強権を忌諱するボトムアップ型リーダーで、左派=弱いというイメージが定着してしまった。左派の頼りなさが左派が女性に支持されない原因にもなっている。
 もっともアメリカこそ左翼だというような西部邁的な政治感に立てば、アメリカも究極的な強権左翼である。アメリカは自由や民主主義をそれ程望んでいない人々にまで自由や民主主義を押し付けるのであるから。