軍の命令もないのに人が自決したとしたら、その方が余程恐ろしいことでは 続編

 池田信夫曽野綾子の『「集団自決」の真実』について言及している。

私も戦争について、戦争を後押し、協力を強要するような「空気」の悪質性について認識している。
3/30に「命令もないのに人が自決したとしたら、その方が余程恐ろしいことでは」というエントリーを書いた。
id:kechack:20070330
私も感覚的には一般市民が何の疑問も持たずに自決を選ぶという事実の方が、自らの国の軍隊に殺されることより違和感があったからだ。自国民を殺すような酷い軍隊は旧ソ連を始め、世界にいくらでも存在し、私なんかは最初から軍隊など信用していないので、日本の旧軍に限らず軍隊など酷い存在に決まっていると思っている。
 しかし、普通の善良な市民が当たり前のように死を選ぶというのは異常だ。それを当たり前ににした「教育」や「同調圧力」というものは相当悪質であると思う。
 ところが不思議なことに、意外と曽野綾子を始め右派に「命令もないのに人が自決したとしたら、その方が余程恐ろしいことでは」という意見を支持する人が多い。どうも彼らは旧軍が悪者にされることを特に嫌悪する傾向があり、「戦中の日本は異常だった。」という言説にはさほど抵抗を示さない人が多い。それさえ許さない人は余程の極右であろう。むしろ、旧軍や戦争指導者の責任を分散化するロジックとして戦中に戦争を煽ったマスコミの責任や戦争を煽った世論の責任を持ち出すのである。
 私が旧日本軍の蛮行を声高に叫ぶより、戦中の異常な世論や異常な同調圧力を問題視するのは、その方がより今日的な問題だからである。少なくとも今の自衛隊はそんな酷いことはしない。ただ、対外強硬論を煽ったり、「売国」という言葉を多用し、ある一定方向を向いていないと日本人ではないと罵る人は跋扈しており、その精神構造は当時と何ら変わらないからである。
 「戦時中は異常だった」と言っている人の中に既に異常な人がいるので要注意である。