日経新聞 柴田翔さんのコラムを読んで

 柴田翔さんが日経夕刊に書いているコラム「あすへの話題」が評判で、話題になっている。残念ながら日経のサイトでは公開されていないので、新聞を買うか図書館で読むしかないのだが…
 11/13のコラムでは、東海道新幹線の短い折り返し時間でテキパキと清掃をこなす清掃婦*1を紹介。仕事熱心な清掃係など沢山の普通の人々がいてこそ、新幹線が無事に走り、最先端企業の社員たちの出張も可能となる。財界人たちがそれを忘れるなら、企業社会そのものが崩壊する。」と延べ、財界や一部の有識者が導入を叫ぶ「ホワイトカラー・エグゼンプション」に至る考え方を批判している。財界人愛読紙で財界人を痛烈に批判する筆者の筆が踊っている。
 作家らしい簡素な文書で、余計な説明は省いているが、筆者はいきいきと働き、行き届いた仕事をする彼女らに、昔の日本ならどこでも見られた「現場の活気」のようなものを見たのであろう。昔の現場では、現場の人が誇りを持ち、高いモチベーションを維持していたのだと思う。
 ところが、現場の仕事なんて誰でもできる。として、とにかく安く使えるパート等の人材に置き換えればいいという発想が蔓延。仕事に誇りなど持たず、モチベーションの低い人間が蔓延し、現場力が著しく低下したのが今日の日本だと思う。
 様々な不祥事が毎日のように報道されるのは、何も過剰報道ではない。日本の現場力が崩壊しているのである。もちろん、現場を軽視する経営者の脳味噌が先に腐っているのではあるが。現場力の崩壊をこのまま放置すれば、日本の競争力は失速するであろう。
 筆者が絶賛したJR東海の経営者である葛西氏について、私は経営者としては評価しておらず、むしろ批判することが多い。清掃婦の待遇も決していい訳ではないだろう。ただ、少なくともあの会社には現場のモチベーションを高めるためのシーズは残っているのであろう。

*1:確かコメットクラブとか言うんだっけ?