参院選と衆院選では勝敗ポイントが異なる。ちょっとズレてないか自民党。

 自民党の古賀選対委員長が、小沢一郎民主党代表に対抗して初めた地方行脚がようやく一巡する。

  • 自民古賀氏の地方行脚、厳しさ痛感・不満を吸い上げ 11/25日経

 相当地方の不満が厳しいことを実感したようだ。
 これが影響してか、自民党では選挙先延ばしと、地方重視の政策転換への大合唱となっている。ただこれをやり過ぎると貧乏くじを引くことにはなりやしないか。
 選挙戦術的に言えば、参議院は都市部は複数区で各党の当選者数はさほど変化がない為、地方の1人区で趨勢が決定する。一方衆議院は地方は自民党有力議員の鉄板選挙区が多く、むしろ都市部の選挙区での当落が大きく趨勢を左右する。本来なら参院選で地方重視を前面に打ち出し、衆院選では都市部の有権者に配慮した政策を打ち出した方が選挙は有利だ。自民党参院選では小泉−安倍時代ネオリベ路線が地方で不評を買い惨敗。その後衆院選を前にしてわざわざ地方重視を強めているので、選挙戦術的に稚拙なような気がする。
 民主党よりももっと地方重視であることをアピールしようと余念がないが、ちょっと度が過ぎている。

民主党は二枚舌だ。『地方を大事に』といいながら切り捨てるのか」
 夏の参院選で、地方の「1人区」を中心に大敗した自民党は、「民主党に流れた地方票の奪回につながる」として、土建業界や地方自治体とタッグを組んで「財源維持」の大合唱だ。
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20071120-01-0202.html

 自民党民主党の地方重視政策は若干方法論が違って、自民党は伝統的なケインズ経済に則り、まず公共事業をカンフル剤として風上から地方を元気にするという考えだ。民主党は農業政策に代表されるように、公共事業の効果を疑問視して末端に直接給付するやり方を多用する。
 まあ都市部の有権者から見れば、どちらもばら撒き=悪であり、方法論を論じる意味さえないのであろうが。民主党は小沢代表になってから、これまでやや都市政党の色彩が強かった民主党の認知度を地方において一気に高めたのは確かだ。小沢一郎という人間は、岩手県人だけあって根っからの地方重視派なのか、それとも選挙策士で、その場に応じて手を換え品を換える人間なのか?もし衆院選では参院選と若干違う戦法を使ってくるようだと、かなりの策士と見たほうがいい。現状では、前回小泉自民を圧勝させた都市部の有権者がどのような投票行動を取るか未知数である。
 もちろん衆院選と雖も、地方の選挙区の対応も不可欠で、極端に都市住民向けの政策に転じることはありえない。最終的には、都市と地方の格差が深刻であることを都市部の有権者にも理解してもらった上で、財源的、方法論的に許容範囲のばら撒きを提示できた政党が勝つであろう。
 ばら撒きは悪であるから許せん。という都市住民の声が聞こえてきそうだが、たぶんその声を代弁する政党はないでしょう。政党に所属しながらも独自の意見を持っている候補者を探すか、棄権するか、自分で立候補するか。無所属の江田憲司くらいかな?ばら撒き=悪論者で当選できそうな人は。