自民党ベテラン議員の駆け込み引退が相次ぐ

 ここにきて自民党のベテラン議員の駆け込み引退が相次いでいる。
 安倍内閣福田内閣官房副長官を務めた大野松茂(埼玉9区)の引退は驚いた。年齢的に72歳だが、要職を経験した後なので、普通なら閣僚を花道と考えたであろう。選挙区事情を見ても、前々回1万票差に迫られ比例復活を許した民主党五十嵐文彦氏に4万票の大差を付け圧勝。次回の選挙予想もどの社の調査も大野氏優位の下馬評だったので、意外であった。五十嵐氏は93年の日本新党で政界入りした民主党内では古株だが、選挙に弱く余り勢いを感じないのだが、一部で大野氏不利の情勢分析が流れていたのか、傷つかずに辞めたいという判断なのであろうか。やはり土地取引の疑惑問題が響いたか?
 しかし後継者が決まっていないようだ。組織力というより人の繋がりで票を集める自民党が、この時期に候補者が決まっていないのは相当痛い。選挙に弱い五十嵐氏が勝つ目が出てきた。
 また防衛庁長官法務大臣を歴任した臼井日出男議員(千葉1区)も引退を表明した。この人は次回の選挙苦戦必至、閣僚経験者落選確実リストに入れてあった。2003年の選挙では臼井議員は民主党田嶋要議員に1万票差で敗れ、比例復活もできずに落選している。前回の郵政選挙では2万票差を付けて雪辱を果たした。93年の選挙は、小泉政権の支持率が高いのに民主党が善戦した選挙で、小泉政権を支持する人の中でも候補者の改革イメージで自民党の古臭い守旧派議員より改革イメージの強い民主党議員に投票した人が多く、自民臼井氏落選民主田嶋当選はその典型的現象であった。一方郵政選挙は候補者力はどうでもよくなり政党名や党首力がモノを言った。自民党候補というだけで票が集まった選挙で、選挙に弱い臼井議員ですら小選挙区で勝ってしまった。
 次回の選挙は民主党の田嶋候補が2万票以上リードすると見ていたので、ここで引退するのは妥当な判断かも知れない。しかし噂では後継者は息子とか?選挙に強かった親父の地盤ならともかく、弱い地盤では?自民党は不利な状況を打開するために、無党派層受けする強い新人候補を立てるくらいの戦術があってもいいのだが、小泉時代と違って支部連合体に戻ってしまって中央主導で候補者決定できない状況では難しいでしょう。
 今後も、戦況分析で不利と言われている自民党のベテラン議員の駆け込み引退が相次ぐ可能性がある。

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