自民党議員の相次ぐ引退について 続報 

 サンデー毎日10月5日号で川上和久氏は自公過半数維持での勝利を予想。その根拠として、河野洋平衆院議長ら大物議員が相次いで引退を表明し、総選挙で自民党候補の若返りが進むことを挙げている。
 大物議員の引退を自民党にとってマイナスと予想している私とはまったく見解が異なるが、具体的な状況を事例ごとに見てみたい。

 後継者の牧島かれんは最近の自民党ではピカイチの魅力的な候補者だと思う。ただこの選挙区は元々自民党鉄板選挙区で、河野洋平議長は次の選挙に出ても楽勝だったので、自民党議席を増やすものではない。

 大臣経験者なのに選挙に弱く、引退は自民党にプラス。恐らく独自調査で苦戦という結果を見て、傷つかずにきれいに引退することを選んだのであろう。でも後継者が長男では、世襲批判の矢面に立たされるだけ。前回次点で比例復活している民主党田嶋要が優位であろう。

 後継は小泉チルドレン大塚拓氏。珠ちゃんの内助の功って感じでマスコミがこぞって報道するからかなり有利なはず。ただこの選挙区は元々大野松茂が優勢で、苦戦が予想されての引退ではないはず。

選挙:衆院選・山形2区 自民県連、後任は月内に 10人前後の名前挙がる  9/22毎日 
 自民党県連によると、「結構いい人材がいる」ということだが、誰が出てくるか蓋を開けてみないとわからない。遠藤武彦元農相もミソをつけて事前調査でも苦戦必死という結果で、逃げたといった方がいい。民主党の近藤洋介は父親が自民党で大臣経験もあり、保守層に食い込んでいるおり、郵政選挙の時でも健闘しているので、相当有力と見たほうがいい。

選挙:衆院選・愛媛3区 自民小野氏、不出馬の意向  9/24毎日
愛媛3区、小野氏引退へ 関谷氏が出馬前向き 9/23愛媛新聞
 愛媛と言えば、雨が降ろうが槍が降ろうが、選挙民が自民党を支持する地域である。小野氏の当選は不動で、次当選すれば大臣の椅子が見えていたのに、まさかの引退である。松下政経塾出身でまだ53歳の若い議員が意欲を喪失して引退する状況は、自民党の若手議員に与えるダメージもはかり知れない。
後継者が高齢批判で前回の参院選で落選した関谷氏では、自民党は絶対勝てた選挙区で議席を落とすことも考えら得る。

長崎3区 谷川氏が出馬断念撤回 慰留受け 自民、騒動の影響懸念 9/24西日本新聞
後援会に懇願され翻意 長崎3区、谷川氏「不出馬」騒動 9/24長崎新聞
自民県連会長の谷川氏、3区から不出馬の意向を撤回 9/24毎日 
 結局、引退は撤回したもののダメージは大きい。民主党山田正彦が農政問題や離党対策で名を上げてきており、久間発言のダメージを受けている長崎自民党はただでさえ苦しい。独自調査の結果が相当悪く、モチベーションが落ちているのであろう。ここから這い上がるのは難しいであろう。

 以上、具体的に見れば自民党にとってプラスの要因は見当たらない。川上和久氏の見解が的外れとも言えるし、ベテラン議員の引退というピンチをチャンスに変えられない自民党の戦略のなさが問題とも言える。