中山大臣辞任 何が問題だったのか?

 政治家の妄言に対する世論の反応は、現在は単純な反発とは限らない。中韓を刺激する妄言に関しては「よくぞ言った!」的な拍手喝采意見も多く、熱狂的支持者へのリップサービスが保守政治家の妄言を喚起している面もある。
 柳沢厚労相の「生む機械」発言に関しても、最終的には野党やマスコミへの揚げ足取り批判の声の方が大きくなってしまった。ただ久間元防衛相の「原爆仕方なかった」発言は右派、左派ともに納得いかない内容だったので、まったく支持する声がなかった。また太田前農相の「消費者がやかましい」発言は、中国批判の絶好の好材料を軽視した右派、消費者重視の左派ともに納得いかない内容だったので支持する声がなかった。
 このように右派に一定の支持がある妄言は、問題にならない場合があるというのが最近の傾向である。
 今回の中山国交相の「日教組ガン」発言は系統的には「右派に支持される」内容で、問題にならない部類に入るのだが、どうもそうではないようだ。ただ中山発言に拍手喝采しているのは単純バカウヨだけで、何となく違和感を持った人が多いのではないか?
 それは、日教組の悪口を言うのが問題なのではなく、別のところに問題があるからだと思われる。
 以下のような違和感が挙げられる。

  • 貧困な単因論:複雑化した社会において、何かひとつの原因で問題が起こることはまずない*1。問題には複合的な要因がある。○○が悪いから問題が生じる的なロジックを展開すること自体がバカ丸出しで、東大卒の大臣がバカ丸出しということに違和感がある。学力の問題を論じている時に、おバカな理論を展開されるとどっ白けである。
  • 国土交通大臣なのに、なぜか日教組を潰す? 文部科学大臣でもないのに、なぜか管轄外の教育の話ばかりする。国土交通という非常に課題の多い官庁をまかされながら、管轄外の問題を吠えることに対する違和感。
  • カラ手形的なリップサービス日教組をぶっ潰すって、結社の自由が保障された現行憲法下で公権力によって日教組を解散に追い込むのは不可能。東大法学部卒の大臣がそれを知らないわけがない。法律の「ほ」の字も知らないバカな右派向けのリップサービスに過ぎない。できもしないことを言って拍手喝采を浴びようとする姿勢への違和感。

 ということで、一部のバカウヨ以外の人には、どうにもこうにもおかしな発言にしか思えないと思われる。
 成田空港反対闘争に関しては、国土交通省の交渉相手を刺激して、何かいいことあるのか?単純に交渉術として稚拙過ぎるのは明らか。交渉相手が硬直化して問題解決を遅らせるだけ。
 日本は内向きな単一民族という発言に関しては、ネット右翼の多くが中国をはじめとする外国人観光客の誘致に反対する中、これに対してはリベラルだと思った。「中国人観光客の誘致など止めるべきだ」と発言したら、たいへんおもしろいお祭りになったのだろうが…

*1:日教組がなくなれば学力が上がるなんて単純な話だったらすごいね。