とうとう独裁政治が羨ましいとか寝ぼけたことを口にし出した日経記者

 以下、日経の大林尚記者のコラムだ。結構ふざけたことを言っているが、これは経済保守派のホンネだろう。同じような意見を持つ財界人、評論家、マスコミ人は多いのではないか?

 民主政治は最大限に尊重されなければならない。だが国や国民が重大な危機に瀕している時は、民主的と言えないやり方にも羨ましさを感じることがある。
 シンガポール政府が22日に公表した経済回復パッケージは、現行18%の法人税率を下げて17%にすることである。いうまでもなく「国の競争力を維持する」のが狙いだ。日本では産業界の税負担を軽くすることは不人気政策の代表だ。野党はおろか与党にさえも反対を唱える議員が少なくない。
 シンガポールは国会の議席の圧倒的多数を与党議員が占める擬似独占国家だ。


〜中略〜


むろん日本は非民主的なやり方を取れない。活路を見出すなら、与野党が党派を超え救国政策を立案、実行する努力ではないか。
 例えば自国の競争力に真に資する法人税の引き下げや選挙目当てのばらまきや景気対策に名を借りた利益誘導は厳に慎む―などを自民、公明両党と民主党とが協定し、効用の高い策を練る。協定終結の要件を決めておくことも必要だろう。そして、この政策が功を奏してもどちらかの手柄にもせず、失敗に終わってもどちらも責めを負わない。これがミソだ。

 そもそも国民の不人気な政策には、不人気な理由がある訳で、それを解消する努力を日本の経済保守陣営をやろうとしない。なぜなら有権者はバカだから説明したって解らないだろうと決めつけているからである。それで、自分たちの中で通用する価値観を作ってサロン化しているのである。
 この経済保守サロンの中でしか通用しない価値観が「国民に不人気な政策を実行した政治家が素晴らしい政治家である」という価値観である。
その不人気な政策をどう実現するか、その方法は問われない。そもそも経済保守陣営は国民はバカだとナメているから、いかに上手く騙すかというお話に過ぎないからである。国民に不人気な政策をどう実現するかは昔からのテーマでいろいろな方法が使われた。

  • 国民的人気の高い内閣を樹立して。その内閣にやらせる。

 サロンでは支持率が高いこと自体は評価されない。内閣支持率はジェットコースターと同じで、その貯金を使いながら支持率を下げても国民に不人気な政策を実現して始めて評価される。経済保守サロンはポピュリズムを嫌うが、当初高い支持率を得ることは必要で、そのためのポピュリズムは容認される。

  • 人気政策との抱き合わせ

 減税などの政策と抱き合わせてこっそりやる。
 先の定率減税などは、取得税の引き下げと法人税の引き下げを同時になり、後で所得税の税率だけ戻した。典型的な騙しのテクニック。

  • 広告代理店を使ったキャンペーン

 小泉内閣が使った手法。単純なメッセージで有権者の心を捉え、国民の嫌悪感をオブラートで包み隠す。マーケティングにおいて、バカな有権者のことをB層と呼ぶ。

  • 大連立

 日経の大林記者の意見の通りだが、読売のナベツネの意見も同じ。だいたい大連立を主導している連中の狙いは、消費税を上げて、その財源で法人税を下げさせたいのだ。


自民党の政治家は支持率や選挙結果以上にこのサロン内での評価を気にする。たとえ選挙で大敗した責任で退陣した総理総裁であっても、国民に不人気な政策を掲げて負けたのであれば、このサロン内においては未来永劫高い評価を得られるのである。そのような政治家は引退後も影響力を発揮し得るのである。
 麻生総理は支持率が低いが、逆にせめて経済保守サロンの評判だけが頼りになって、消費税増税に拘る傾向がある。消費税アップを掲げて選挙で大敗しても、サロン内では高い評価を得られ、今後も政界内での影響力行使が担保されるからである。
 マスコミは全国紙はどこも消費税上げろ上げろの大合唱ばかりだ。なぜなら全国紙の論説委員などのエリート記者は朝日、毎日も含めてサロンに取り込まれているからである。消費税を上げてそれを何のために使うのかという説明なしに*1、まず増税ありきはおかしい。消費税アップで財政に余裕がでいると、行政改革の圧力が緩みや公共事業拡大圧力が増えるのではないか。まずは歳出削減に道筋を付けるのが先だ。こういった正論を言っているのは地方紙ばかりではないか?読売などは特に酷くて、まず増税ありきの社説を乱発する。
 法人税の減税も然りだ、大林記者は法人税を下げることが景気対策だと言っているが、1%上げて何になるのか?これだけ聞くと単なる愚策としか見えない。サロン内では法人税を下げるのが是という暗黙の了解が出来上がって、彼ら自身も法人税を下げることの効用が説明できなくなっているのではなか。国民がバカなのではなく、彼らがバカなのので国民に説明できないので、騙しのテクニックに依存するしかないのではないか。

*1:法人減税に使いますと言うと、有権者が反発するので、真実を言えないのである。