ドイツの経済対策はむしろ見習うべき 批判する麻生総理は相当なトンチンカン
麻生総理が追加の景気刺激策に消極的としてドイツを名指しに批判している。
とにかくネット世論はマスコミ報道の裏返しの如く、麻生総理を批判しようものなら逆に凄まじいバッシングに遭うような狂気の世界であるが、この発言はあまりにもKYなので言わせてもらいし、逆にマスコミはくだらない誤字脱字を指摘するより、こういうあからさまなトンチンカンをもって批判すべきだと思う。
まず、ドイツは日本を上回るGDP比3.2%の景気刺激策を既に発表し、既に十分な成果を上げている。日本はまだGDP比2%の景気刺激策を発表したに過ぎず、今回のアメリカの新たにGDP比2%の景気刺激策にコミットするのは、単に日本の政策が遅いからに過ぎない。
日本は75兆円と喧伝しているが、今回議論の対象になる真水部分では12兆円に過ぎない。景気刺激策の中身は
- 定額給付金2兆円
- 地方交付税 1兆円
- 雇用対策 1兆円
- 経済緊急対応予備費 1兆円
- 雇用対策、住宅・中小企業減税、兆円1.1兆円
- 省エネ・農林水産業対策・学校耐震など 0.9兆円
- 高速道路値下げ、0.5兆円
- 高齢者医療対策 0.4兆円
主にこんな感じで、これからどんな成果が出るのか模様眺めの状況である。
一方ドイツは820億ユーロの景気刺激策を発表している。
- 9年以上使用した車を新車に買い替える場合に2500ユーロを支給 15億ユーロ
- 7月から2010年末まで総額90億ユーロの減税
- 子ども1人当たり100ユーロの給付金、医療保険料率の0.6%引き下げ。
- 地球温暖化対策の一環として、エネルギー効率を高めるための改築や改修 30億ユーロ
- 鉄道、高速道路、水路など重要な交通インフラ整備・騒音対策 20億ユーロ
- 構造問題を抱える地域の改革 30億ユーロ
- 新車購入後1年間、自動車税を免除。環境基準に準拠した新車を購入した場合は自動車税を2年間免除。
- 各家庭が住居の維持、改善のために支出する際の補助を倍増。
- 操業短縮手当の支給期間を12ヵ月から18ヵ月に拡大し、技能の低い労働者が再教育を受ける場合も支給。
- 機械、自動車などの投資財について、09年1月から2年間、最高25%の減価償却を認める。
すでに新車買替の2500ユーロ補助は即効的な効果を発揮し、ドイツの新車販売台数は2月が21.5%増の278千台、3月は40%増の401千台と世界的に新車販売が大きく落ち込む中、異例の販売増を記録している。
その間日本の新車販売台数は2月が32.4%減の218千台。3月は31.5%減の323千台と大きく落ち込んでいる。
しかもこの施策は環境基準に適合した自動車に限っての補助のため、ドイツ車より日本車の販売が大きくの伸びている。国内市場やアメリカ市場が焦土と化している中で、日本の自動車メーカーには感謝して余りのある施策である。
ドイツの経済界の中にも、結果的に外国車が有利になるような政策に疑問視する意見もあるが、環境問題や自由貿易体制へのコミットから甘受しているのである。
この状況でドイツを批判するのは恩盗人も甚だしい。ドイツ関係者は怒るどころか、余りにも実態を理解していないKYな為政者を抱える日本を哀れむのではなかろうか。
ネット言論を見ると、こんな状況でも麻生総理を擁護することが目的化された擁護学校の生徒たちがみすぼらしい姿で跋扈している。