小沢一郎は辞任すべきかと問う世論調査は無意味である。

マスコミは麻生の味方でも小沢の味方でもない。

 マスコミが政府よりだとか野党寄りだとかいう議論は無意味である。マスコミは麻生総理にも民主党の小沢代表にも辞めてもらいたいと考えている。それは単に政局が混乱した方が政治ネタ的に面白いからであって、それ以上の意味はない。マスコミの政治報道など所詮ネタ至上主義で、政局が混迷してニュースソースが増えればいいとしか考えていないのである。

無党派層の調査結果にしか価値がない。

 そもそもこのアンケートで小沢代表を辞めさせる流れを作りたいのだろうが、アンケート自体が雑過ぎ、結果分析が困難で使い物にならない。であるからこの調査で小沢が辞めるのがいいかはわからないし、ましてや自民党に追い風が吹いているような議論をするのは無意味である。
 唯一意味があるのは無党派層がどう考えているかである。無党派層で小沢辞めるべきとの意見の人は小沢が居座れば民主党でなく自民党に投票する可能性があるからだ。
 自民党の支持率は上がったと言ってもまだ低い状態で、現在でも支持している人はよほど自分の選挙区の候補者が気に入らない等の特殊事情がなければ自民党に入れる。自民党支持層のほとのどが小沢は辞めろと答えるであろうが、別に民主党の代表が誰になろうが投票行動は変わらないであろうから、この調査結果を分析する意味がない。*1

 民主党支持層の中で「小沢辞任すべき」という意見は二つの潮流がある。

  1. 純粋な小沢嫌い。旧社会党支持者には90年代前半の禍根を引きずり伝統的に反小沢が多く、彼らは菅直人など民主党内のリベラル派がリーダーとなって民主党左傾化して欲しいと考えてる。党首交代でリベラル派のリーダーへの交替を期待している。
  2. 選挙に勝って欲しいが故に、党首交代で戦局を有利にして欲しいと考える潮流。

 これは分けて考える必要はあるが、そもそも前者とて小沢代表がたとえ留任したとしても投票行動を変えることはないであろう。

 民主党も近々独自調査をやるようだが、無党派層の意見のみを注視すべきである。無党派層の中で小沢辞任の意見が強ければ、退路を考えるべきである。ただ無党派層の中にも

A:自民党も支持できないが民主党も嫌いな人
B:民主党支持者の1に近い人
C:民主党支持者の2に近い人

が存在する。党首が変わればこれらの層の票が取れる可能性もあるが、右派色あるいは左派色の強い代表に代わると逆に票が逃げるリスクもある。その辺はポスト小沢の顔を想定しながら、小沢退陣の是非を論じなければならない。

辞任という判断をする場合は、決断は早ければいいという訳ではない。今はムリに支持率を上げようと考えずに自公与党を油断させた方が得策ではなかろうか。民主党が頑張らない方が麻生内閣は解散するのであるから。

*1:民主党支持者のうちで麻生総理をどれだけ支持しているかというデータはまだ意味があるのだが…。