鳩山=小沢傀儡批判の意味。これはネガティブキャンペーンでなく政治工作である。

 民主党の鳩山体制が船出して、聞こえてくるのは小沢院政、傀儡批判ばかり。共同通信の調査で、小沢氏の影響力は、「ある程度残る」「かなり残る」との見方が82.4%に達している。
 ただ、こういう世論調査は一番意味がない。いろいろな思惑が錯綜して、たまたま結果を共有しているに過ぎないからだ。
 そもそも小沢氏の影響力が残ることに肯定的に捉えているのか、否定的に捉えているかさえわからない。多くの人が先入観から、「8割以上の有権者が小沢院政に批判的だ」と解釈するだろうが、世論の早とちりに過ぎない。多少なりとも、小沢氏が今後とも影響力を発揮することに期待している小沢シンパもいるからだ。
 実際には小沢氏の影響力が残ることにネガティブに捉える人の方が多いであろうが、与党支持の傾向の強い人と、民主党支持傾向が強いが小沢氏に批判的な人とではベクトルが異なる。
 自民等寄りの人がネガキャンとして鳩山=小沢傀儡批判を多くしているが、これはあまり効果がない。よほどの小沢一郎嫌いは小沢代表時代にとっくに民主党支持から離れているだろうし、小沢が嫌いだから民主党を積極的に支持してこなかった層が民主党に回帰するのを多少食い止める程度の効果しか期待できない。小沢代表時代に民主党を支持していた有権者を離脱を促したいのであれば、むしろ小沢氏を肯定的に評価し、小沢亡き民主党は非力でなにもできないというプロパガンダを打った方がいいのだが、それをやろうとする自民等関係者は皆無だ。
民主党寄りの反小沢勢力のプロパガンダとしての鳩山=小沢傀儡批判の方がより作為的かも知れない。小沢一郎のネガティブイメージを強調し、小沢的な政策は有権者に不人気であるという先入感を植えつける。そして鳩山代表の自尊心を刺激して、小沢氏の意向が民主党の政策に反映しないように外堀を埋める工作を狙った世論工作なのである。
 ただ注意しないといけないのが、小泉マンセーをしていた評論家や学者たちが、麻生政権の政策に嫌気が指し、2000年代前半の自民党より改革で一歩先を行く昔の民主党の路線再来を期待して暗躍している。さも民主党に期待しているかの言動を繰り返し、小沢時代の地方重視・配分重視の政策を改めさせ、都市重視、活力重視の昔の改革政党民主党への回帰を促そうとしているのである。
 かれらの工作が成功すれば、小沢時代の政策は国民に不人気であるから改めなければならないという空気を捏造し、民主党に麻生自民党が捨てた改革路線を担わせることに成功するかも知れないが、お手並みはいかがか?