常に財政規律派が主導権を握る自民党と、財政規律しか評価しないマスコミ

 小泉自民党から麻生自民党に至るまで、自民党は豹変したと言われ、その節操のなさが自民党の支持率を下げている一因にもなっておるのではあるが、実はまったく変わっていない部分がある。それは自民党において財政規律派が常に主導権を握っているという点である。
 財政規律派は、小泉時代には歳出削減に重きを置き、新自由主義派と結託して、聖域なき構造改革を実行した。そして歳出削減が「行き過ぎだ」と評判が悪くなると、今度は増税にシフトさせようとしているのである。新自由主義者の末裔である「上げ潮派」は財政再建派に切り捨てられ、将来の増税を約束させるとことで本来水と油の関係のはずの積極財政派と野合したのが麻生政権である。
小泉構想改革は新自由主義の側面ばかり強調されるが、実は財政規律派の系譜の上にある政権でもあった。本来新自由主義のセオリーである減税*1を封印した上に、財政規律は増税を封印し、妥協の上に成り立っていた。構造改革の支持者には新自由主義者も多かったが、財政規律派の識者も多かった*2
マスコミは朝日だろうが読売だろうが常に財政規律派を支持する。自民党で言えば与謝野氏、民主党で言えば岡田氏がマスコミには大人気だ。マスコミは本来、国民の嫌がる消費税アップを前面に掲げて戦う政党を贔屓したいところなのだが、何分自民党の財政規律派が結託した積極財政派や公明党のバラマキ路線のマスコミ受けが悪いのと、自民党が財政政策以前にお粗末なお話が多いので、マスコミも自民党を支持する風にはなかなかならないのが現状なのであろう。
もっとも、民主党がそんな政策を出しても財源批判を忘れないところが、財政規律派一辺倒のマスコミクオリティーである。

*1:一部のネオリベブロガーの中には増税新自由主義という的外れな批判をしている人もいるが、本来の新自由主義は減税思考であって、新自由主義者と結託していた財政規律派に間違って新自由主義者というレッテルを貼ってしまっている

*2:マスコミの論説委員クラスはほとんどコレ。彼らは例外なく霞ヶ関の理論に洗脳されている