FTA(自由貿易協定)をどうするのか? マスコミも評論家も誰も掘り下げようとしない怪。

 最近再びFTAに関する話題が散見される。中央マスコミは少し前まで揃ってFTA推進の論陣を張り、日本の出遅れを憂う社説を書き連ねていたのに、最近の取り上げ方は、民主党の政策のブレという極めて末節な問題に矮小化されている。だいたい「締結」から「推進」に書き換えたことを批判することで何の議論も深まらない。
  FTA推進の立場の人たちが、民主党マニフェストを書き換えて、コメ等の主要農産物を除外すると言ったり、締結から推進にトーンダウンさせたことを批判するのは立場的に言えば当然だが、安倍政権の時に日豪FTAを推進する方向を示しながら、いつのまにか自民党農林族議員がFTAを民主党批判の切り札にしようとしている自民党の節操のなさを批判する声が全く聞こえないのが不思議である。
 そもそも与党のFTAに対する考え方はどうなのか?農林族の主張=自公連立与党の主張と考えていいのかよくわからない。
 もし農林族の意見が連立与党の主張だとすれば、自由貿易阻止+高価格維持路線vs自由貿易容認+所得保障による救済 という選択肢のそれぞれのメリット・デメリットを論点整理し、有権者に判断材料を提示するのがマスコミの役割ではないのか?
 マスコミは自民党擁護を自己目的化させているのか? それとも、自民党はもう下野するからどうでもいいや。野党らしく批判のための批判をやらせておけばいいという考えかのか?