低賃金労働者=負け組の存在は必要という考え

 貧困や格差の解消は本当に必要なのでしょうか? 程度にもよりますが、低所得者の割合が多いと様々な問題が発生します。
1.-国内消費が停滞
2.教育水準の低下、人材の劣化
3.社会保障費の増大
4.治安の悪化
5.治安維持のためのコスト増大
 日本はちょっと前まで、世界でもっとも格差の少ない総中流国だったために、問題はそれ程深刻化してないようですが、1〜3の問題はよく指摘される事項です。
 一方、低所得者が存在することにメリットもあります。特に国際競争に晒されている製造業などは、安価な労働力は喉から手が出るほど欲しいでしょう。
 いつの時代も、経済的発展のために低賃金な労働力が必用とされていました。古くから奴隷が利用され、アメリカの建国以来、現在のアメリカの発展の礎を築くに当たって黒人奴隷は欠かさないものでありました。近世では20世紀前半まで先進国でも囚人を安価な労働力として利用してきました。
ソ連などは労働力を確保するために政治犯をでっち上げ囚人とし、シベリアを開発しました。
戦後、先進国では非人道的な労働は解消されてゆきましたが、それでも低賃金労働者に対するニーズは尽きず、先進各国は移民を受け入れることで安価な同労力として活用してきました。
日本でもバブルの頃は、「人手不足倒産」などが発生し、日本人の若者は3Kの職場を嫌うので外国人労働者を受け入れるべきだという意見も多く聞かれました。今では外国人を受け入れなくても、街には失業者が溢れ、条件の悪い求人でも労働者が集まります。安い労働力を求める産業界には好都合な状況は暫く続くのでしょう。
低賃金労働者が増えればモノが売れなくなるのは頭ではわかっている企業経営者もいますが、モノが売れるように自社の労働者の待遇を率先して改善しようという経営者はまずいません。皆負の連鎖から抜けられないチキンレースに陥っているのです。
それより問題なのは、国内に低賃金労働者を一定数確保することが必要だと考えている人たちです。その考えに基けば、移民を受け入れていない日本では、自国民の中から一定割合で低賃金労働に就く層を確保しないといけないことになります。最初からチャンスさえない貧困層の子弟が存在し、競争で敗れて落ちた人はもう這い上がれない仕組みの方が好都合なのでしょう。