鳩山内閣の支持率は必ず下がるが…

内閣支持率は必ず下がる。

 鳩山内閣が発足して3ヶ月が経ち、蜜月期が過ぎたということで予想通り支持率が下がりだした。支持を下げた要因は鳩山総理の「ブレ」にあるようだ。最近は特に「ブレない」政治家が評価される傾向にある。「ブレない」政治家は初志を貫徹し、反対派の意見に左右されない。当然独善的だとか専制的だとかという批判を着いて回るが、どちらが最終的に得かというと前者の方だ。つまり政治家は必ず批判されるが、どうせ批判されるなら独裁者と批判される政治家の方が歩留まりが高い。*1
 一部の評論家やマスコミは、マニフェスト至上主義に陥るな、マニフェストを撤回しろといった論調を張って、敢えて「ブレ」を迫ったりもするが、どんなに悪い政策であろうと初志貫徹してブレない方が支持率低下の歩留まりは高い。*2

甘い果実と苦い果実

 また政治課題には、ほぼすべての国民が評価する美味しい果実と、国論を二分する苦い果実がある。鳩山政権は事業仕分けという美味しい果実を使って支持率を浮上させたが、今目前にあるのは苦い果実ばかりだ。
経済対策は財政出動をすれば財政規律派に批判され、財政出動をしなければそれはそれで批判され、どの選択肢を選んでも必ず支持率は下がる。在日米軍再編問題も日米関係を重視して辺野古移転を進めれば沖縄県や左派に批判され、県外移設に拘れば親米保守派に批判され、いずれにせよ支持率は下がる。

どうせ内閣支持率が下がるのであれば

 大事なのは、どっちにしても支持率が下がる問題は早く決断するのがベターだということだ。どっちつかずの状況を長引かせるのがもっとも支持率を下げる結果になる。安倍政権から福田政権、麻生政権が発足直後はそこそこに支持率だったのに、短期で支持率が低下したのは、小泉的な新自由主義政策の継続、或いは財政規律、或いは財政出動なのか曖昧な政策を続けたためである。
結果的に鳩山政権も自公政権と同様にいろいろな考えの勢力を抱えていて、バランスを重視すると自公政権末期三政権と同じ運命になるということである。では小泉政治がいいのか?というと、今さら新自由主義という処方箋はないが、小泉的に特定の政策に傾斜して、反対派の意見を封殺するという手法は「支持率をキープ」するためにはもっとも有効である。
もちろん苦い果実を処理している間は、「特定の政策に傾斜して、反対派の意見を封殺する」という選択をしても支持率はある程度下がる。そしたら、また甘い果実を使えばいい。また鳩山政権は「公務員改革」や「特殊法人改革」「天下り規制」という、わずかな人を敵にして万人受けするカードを温存しており、参院選前にカードを切ることで当面は延命可能だ。まさに小泉が使った手法だ。

内閣支持率など低い方がいい

またマジレスする人がいると思うのでしつこく言っておくが、世の中小泉時代から何も変わっておらず、独裁者が待望されている事実を書いたまでです。鳩山総理の性格からそれは無理だというのは百も承知だ。さらに言えば、内閣支持率が高いことで国民には何のメリットもない。支持率の高い内閣ほど思い切って国民に不人気な政策を行う危険性がある。支持率の低い政権の方が世論の人気取りに終始するので国民には優しい。内閣支持率など低空飛行の方が我々にとっては幸せなのである。

*1:個人的には優柔不断でも人の言う事を聞く政治家が好きだ。最近私のエントリーにマジレスで批判する人が多いので、敢えて私見を付記する。

*2:ほとんどの人は、一部マニフェストも見直した方が支持率も上ると考えていると思うが、そんなのは嘘。私が断言する。世論は政策の中身より姿勢が評価する。