ピンボケな財政再建至上主義者に救われている鳩山政権

私は鳩山政権が結果的に最も批判される可能性が高いのが、景気対策の遅れだと思っている。今までと予算の使い方を変えたいのは判るが、財源を担保するために、まず歳出削減が先行し、その後に新たに予算付けする分野が決まる。予算の執行停止が先行することは明らかに景気にはマイナスである。問題は多いにせよとりあえず麻生政権時代の景気対策はそのままやった方がよかったと思う。
ところが、マスコミやエコノミストには財政再建至上主義者が多いので、この部分はそれほど批判されない。財政再建至上主義者もこの部分では新自由主義者と共同歩調を取って財政出動の無意味さを説くので、批判しないのである。むしろ積極的な財政出動を主張した国民新党の亀井代表が悪者になって、「少数政党に振り回されるな」みたいな論調が目立った。
財政再建至上主義者は赤字国債を発行すると長期金利が上昇して景気対策なんてすぐ帳消しになるとお決まりのお話をするが、3流エコノミストより市場関係者の方が利口で、債券相場はそうバカな反応はしない。マスコミは相変わらず子どもや孫の代にツケを残すな的な感情論が好きだ。これがまた「我慢大好き」な日本人の国民性にフィットしてウケが言い。不況時に増税と歳出削減を同時に行うような苛政を行うべきと主張する政党が危うく政権を取りかねないのが日本の実情だが、日本が国際的に影響力の乏しい小国であればまだしも、世界第2位の経済大国がこんな政策を行ったら世界経済が滅茶苦茶になる。こんな国際的背信政策は許されない。
鳩山政権はむしろ赤字国債の発行額が44兆円を超えた部分の方がマスコミやエコノミストからネチネチと批判されそうだが、このことは後々になってみれば大した問題ではない。
鳩山政権の経済政策はいろいろ批判されるべき点はあるが、批判する側のダメダメさに救われている。