お金のないところに新党は生まれない〜マスコミの政界再編ネタに欠けているもの〜

 マスコミは相変わらず、政界再編話しが好きだ。とにかく政治が流動化すればするほど、マスコミ人は血が騒ぐらしい。ただ実際に有権者は冷めていて、政界のガラガラポンでわくわくしたのは90年代前半までで、その後は皆白けていた。気づいたら自民党民主党に収斂していたという感じだろう。
 それでも政権交代ネタもつまらなくなってきたので、ここで政界再編ネタで盛り上がりたいのがマスコミのホンネだろうが、マスコミもさんざん政治の取材をしていながら決定的に抜け落ちた視点がある。それは、お金がないと新党は作れないという事実だ。マスコミは常に国民に人気のある政治家を政界再編のキーマンに据えたがるが、そういう取材をしている限りガセネタしか生まれない。
 今日も平沼新党だとか、与謝野新党などのネタがマスコミを騒がしているが、問題はお金を集められる人間かということだ。少なくとも舛添ではお金を集められないので新党結成の核にはなれない。鳩山邦夫にはお金はあるが人望がないので人が集まらない。与謝野は経済界で評判の高い政治家だが、政局に弱いのでどこまで信用してもらえるかだろう。
 民主党政権の政治とカネの問題に失望している人は多いが、クリーンな第3勢力が生まれることを期待するのは難しいだろう。なぜなら、もし新党を作ろうという人はかなりギリギリのことをやらないと難しいからである。鳩山も小沢もお金があったから政党を立ち上げることができたのだ。
 もちろん個人でお金を集められなくても、大きいなスポンサーをバックに掴んで新党を作ることも可能だ。例えば経団連自民党に見切りを付けて、みんなの党やこれから出来そうな新党にボンと資金提供する可能性もなくはない。ただそれは、経団連の意向の強い政党ができるというだけで、無党派層の民意を掴むには障害になる。 お金は出すが口は出さないという団体があればいいが、そんな団体はないだろう。
 お金がないと政治が出来ないという話をすると、80年代後半からさんざん騒がれた政治改革は何だったのかということになるが、あれは個人の選挙でお金がかからないようにしようという話と、既存政党の維持を公費で賄いましょうという話しに過ぎず、政党を新たに作るお金まで念頭にないのだ。