ほとんどの保守派は自民党復活などとっくに諦めている。

民主党議席を減らすのは簡単だ。

 今日自民党を離党した園田博之議員はしきりに「民主党議席を減らす」と叫んでいる。とにかく民主党議席を減らすためならば、今の自民党ではダメというのは園田議員の言うとおり。ただ平沼・与謝野新党ではダメだ。
 ただ参院選民主党を追い込むのは簡単だ。民主党の弱点は「寄り合い所帯で政策の核がない」という点。その弱点を攻めるには自民党を2分割するのがいい。
 つまり都市型保守政党と地方重視保守政党を作り、前者は小泉改革継承(仮に都市自民党とする)、後者は増税+大きな政府で公共事業復活(仮に地方自民党とする)を謳う。そしてお互いに候補者をバッティングさせず、前者は都市部、後者は地方のみで候補者を擁立。みんなの党は都市自民党とくっつくのがいいだろう。そして平沼を中心に保守政治団体を作り、その団体は両党の候補者全員を推薦する。
 真正保守と呼ばれる人たちは、経済政策なんてどうでもよくて、歴史観や外交・安全保障にしか興味がない人が多いので、二つの自民党の経済政策が矛盾することはお構いなしだろう。それに与党になる訳ないのだから、経済政策など矛盾したままでも構わない訳だ。
 最初は、都市自民党、地方自民党真正保守党の3分割がいいかと思ったが、今の選挙制度だと、2分割して真正保守主義はおまけのふりかけと考えた方がいい。*1
 都市部の選挙区で赤字国債暴発やばらまき福祉を批判され、地方の選挙で公共事業削減による地方経済の疲弊を批判されたら、民主党の候補者はひとたまりもなく惨敗するだろう。
 不完全な形で自民党から分離した「みんなの党」は新自由主義的な保守政党。与謝野・平沼新党財政再建と地方重視と保守主義を合わせたような性格になりそうだ。これだけ見ると2分割案に似てなくもないが、自民党本体が残ったままで、候補者調整をしなければ共倒れになるだけだ。これでは民主党議席はあまり減らすことができないだろう。

自民党復活&民主党潰しのために頑張っている人はほとんどいない。

 ただ自民党政権の復活を信じている人は意外と少ない。前記の自民党分割案も、自民党政治復活の足がかりとして期待するのはあさはかである。「みんなの党」も「平沼・与謝野新党」も第3極を謳っている。つまりキャスティングボート狙いである。実際には民主党議席を減らして、連立相手が必要な状況に追い込んで、自らの勢力を高く売るのが狙いだと見ていい*2。その補完勢力争いを「みんなの党」と「平沼・与謝野新党」ですることになる。
 財界やマスコミも経済評論家も、民主党政権の連立相手を変えさせて、政権の性格を変えさせるのが、自分たちの理想の政治をやらせる近道だと考えている。小泉路線の復活を願う勢力は、政権から国民新党社民党を追い出して、みんなの党を政権参画させて、小泉改革を継承する政権の樹立を狙っている。
 読売新聞や地方の保守勢力は、新自由主義的な政権樹立を阻止するため、政権から社民党だけ追い出して、「平沼・与謝野新党」を連立に参画させて、財政再建&地方重視の政権樹立を狙っている。
 つまり安倍政権〜麻生政権時代の自民党内の路線対立を離党後も場外乱闘という形で継続して、民主党を乗っ取ってやろうという魂胆なのだ。
 いずれにせよコアな部分は今の民主党である。小沢一郎という司令塔がいなければバラバラになり、中にはホンネは新自由主義者財政再建至上主義者という議員もゴロゴロいるので連帯は容易だ。しかも民主党は議員数は多いが当選回数の少ない議員が圧倒的である。少数政党でも自民党出身ベテラン議員が強い影響力を発揮できるはずだと考えているのだ。
 正直、打倒民主党をまともに考えている人はいない。いても一部のネット右翼だけだ。現実的な保守主義者はとっくに発想を転換している。勝算があるかは別問題だが、少なくとも自民党を再生させるよりは現実的だと考えている。

*1:実施には真正保守主義は票にならないから

*2:園田議員は自民党復活など全く念頭になく、「民主党議席を減らす」と叫んでいるのは、そのため