いい悪い以前に、野田総理にはTPP交渉参加の選択肢しか残されていない

国民のほとんどが賛成し、誰がやっても評価されるような政策というのは、ほとんど前任者に遣り尽され、残ったのはババのようなテーマばかりだ。このような状況では、どのような決断でも支持率は下がる。ただその下がり方に差があり、以下の通り評価は下に行けば行くほど下がる。賛否が拮抗するテーマであっても、決断することで大きなリスクを負ってでもよりマシなカードを引くのがベターである。

  1. Aのカードを引く
  2. Bのカードを引く
  3. カードを引かない(決断をしない)
  4. 途中でカード(意見)を変える

TPPの場合、参加する、参加しない、どちらがAのカードかは微妙だが、実は既にどちらでも関係ない。残念ながら、野田総理は最初から参加するポーズを取っているので、今からTPP参加を中止すれば、もっとも低い評価を与えられる4のケースになるので、今の段階ではこのままTPP参加を決断するのが最もマシな決断となる。

もちろんこれは、最も支持率の低下を食い止めることができるという短視眼の、「もっともマシ」な選択肢という意味である。長い目で見れば、今からでもTPP交渉に臨むのを中止するのがベターなのかも知れない。

しかし、実際にそれをやれば、野田総理はマスコミや野党からボコボコにされ、最も支持率が下がる最悪の結果となる。さりとてTPP反対派も、野田総理の決断を褒めて以後支持するようになることもないので、この選択肢は選択肢としてあり得ないのだ。
現実政治は短視眼な動きですぐ総理のクビが飛ぶ。長視眼での正しさの追及ができる環境にないのだ。