公開討論会

 北海道新聞社主催の北海道1区の候補者討論会に行く。
私の選挙区は北海道3区なのだが、3区の公開討論会は仕事で行けないので、1区の討論会に参加。
 北海道1区というのは民主党横路孝弘が圧倒的に強く、選挙区的には無風区なので選挙区的には興味はないのだが、興味本位で参加した。
 この選挙区では自民党は全く民主党の横路氏に歯が立たず、候補者擁立もなかなかうまくいかない選挙区だが、自民党は前回同様に医師の三品孝行を立ててきた。この人は私の会社で付き合いのあるしゃぶしゃぶ屋のオーナーと繋がりがあるらしく、店で飲んでいる時に挨拶に来て握手したことがある。私は失礼にも「横路さんには勝てないから惜敗率上げて比例復活頑張って下さい」と声を掛けたことがある。毎回自民党は候補者差し替えの噂が絶えず、この方も自民党支持層をまとめ切れていない。今回も自民党マニフェストをそつなく述べた上で、札幌夏季オリンピック誘致と北海道新幹線という北海道自民党オリジナル公約のアピールに余念がなかった。私は元々こういう公約が好きでない、しかも新幹線が第1次産業第3次産業発展に役立つというのはクエッションマーク。日本の新幹線の概念を覆し、フランスやドイツのように新幹線に貨物を走らせるというアイディアを出してくるなら支持してもよかったが…。旅客だけの新幹線は北海道には経済波及効果はわずか!
 民主党の横路氏。旧社会党出身、2世議員と彼のプロフィールからはマスコミや無党派層受けの悪いキーワードが抽出されるのであるが、演説が滅茶苦茶上手い!この人も旬が過ぎた感があってマスコミへの露出は少ないが、改めて見るとなぜ選挙にこれだけ強いのかわかる。やはり政治家はプロフィールやWebだけでは判断できないものだ。演説内容は民主党マニフェストには準拠しているものの、より福祉や年金に重点を置いた内容で、新保守主義的な傾向の強い民主党の若手議員とは若干異質な感はある。小さな政府とか、公務員削減という言葉はあまり使わない。
 共産党の横山博子はちょっと力不足の感が否めない。横路氏がけっこう共産党支持者のニーズもカバーしてしまう人なので、これだと共産党支持層もまとめきれない感じがする。
 今回郵政選挙と言われながら、やはり地方の選挙区は事情が違う。北海道の有権者の最大の関心事は公共事業だ。それも公共事業が減っていくことはみな判っているし受け入れている。関心はどのような公共事業がムダな公共事業として減っていくのか、またどのような公共事業が必要なものとして残っていくかという選択の問題。あとは開拓以来公共事業によって支えられてきた北海道経済をどう質的に転換させていくかという問題である。
 北海道新聞東京中心のバカ騒ぎに踊らされずに冷静に地域経済の問題をクローズアップしたことと、候補者がそれをよく理解していたことが何よりの救いであった。恐らく落下傘候補が急遽立候補したら、このような地域の問題を理解できないまま「郵政民営化にYesかNoか」の単純化されたB層受けの選挙をやったであろう。であるから、地域密着=利益誘導を単純に決め付けるような落下傘候補賛美論には同調できないのである。

新党大地の動き

 ところが、鈴木宗男さんの新党大地が北海道1区にプロスキーヤー秋元正博氏を擁立するという話ではないか?どうせならこの人の話も聞きたかった。まあ比例区新党大地に入れる人はそこそこいるであろうが、選挙区はちょっとムリだね。彼も若い世代の間ではほとんど知られていない。中途半端な有名人というのはタレント候補扱いされて政治意識の高い有権者に敬遠された上に無党派層の集票も思った程できないから、候補者としては一番不適格だと思うのだが……。中途半端な有名人を並べてまったくの不発に終わったかつての自由連合を思い出す。

岡山2区熊代氏が岡山市長選へ、「刺客」現職と共存

 郵政民営化関連法案に反対票を投じ、衆院岡山2区で、自民党本部から岡山市長の
萩原誠司氏(49)を対立候補に立てられた、前議員・熊代昭彦氏(65)が出馬を断念し、
入れ替わりに、萩原氏の辞職に伴う同市長選に立候補する意向を固めたことが18日、
わかった。

 熊代氏は党本部の公認が得られず、これまで無所属で出馬する準備を進めてきた。
党岡山県連も本部の意向に反する形で同氏を支援する方針だった。

 ただ、同2区の区域の大半が岡山市支持基盤が重なるうえ、党本部を相手に戦うこ
とで勝算は少ないと熊代氏側が判断。萩原氏との選挙戦を避け、“共存”の道を探った
とみられる。(2005年08月19日  読売新聞)

 これはどうなの?私だったらかなり馬鹿にしていると発狂しますけど?
岡山2区は造反組の熊代氏と自民党公認の萩原氏が共に出馬する場合は民主党の津村氏優位と見ていたが、再検証する必要がある。
 自民党も調査会社の調査で萩原氏がこのままでは勝てないと踏んで、熊代氏に岡山市長という蜜を吸わせて引きずりおろしたのか?ただ確かなのは、岡山市長に誰か立候補すればかなりの確率で熊代氏には勝てるということ。

「刺客」に異色の女性教育長=市役所、出版社勤務など経験−北海道10区

 郵政民営化法案に反対した前職の対立候補として、衆院選に北海道10区から自民党公認
で出馬する飯島夕雁氏(41)は、伊豆諸島最南端の東京都青ケ島村(人口約200人)の教
育長だ。いくつもの職を経験した異色の女性候補で、同党が実施した緊急公募で選ばれた。
 飯島氏は東京都出身、小金井市役所に勤務しながら、中央大夜間部を卒業した苦労人だ。
その後も出版社や医療相談員などの職を経験し、教育長にも公募で就任した。 
 夫が札幌市に単身赴任している以外、北海道と特段関係はないという。しかし、最終面
接に当たった武部勤幹事長は「難しい質問をぶつけても動じない。金の卵だ」と高く評価。
「女性枠」として比例代表北海道ブロックの名簿1位で処遇することを検討している。
(時事通信) - 8月19日

 飯島さんはもう少し青ヶ島で頑張って欲しかった。これも完全な比例当選狙いですね。刺客としての効果はあって、これで造反組の山下氏も落選確実になるが。北海道10区は選挙区事情をどうみても民主党の小平氏優位になった。

八代英太氏、東京12区から出馬断念

 郵政民営化関連法案に反対した自民党八代英太・元郵政相は18日、党本部で、武部幹
事長と会談し、衆院選東京12区での立候補を断念する意向を伝えた。
 公明党太田昭宏幹事長代行を擁立する同区は、自公両党が重視する協力区の一つで、
八代氏は自民党執行部から出馬見送りを強く要請されていた。会談後、八代氏は記者団に、
不出馬の理由について、「(東京12区は)自公連立の要だ。民主党を利する形になっては
ならない」と述べ、自公両党の選挙協力への配慮を挙げた。
 自民党東京都連は八代氏を比例東京ブロックの単独候補とするよう求めている。しかし、
党執行部は反対票組を公認しない方針を堅持しており、八代氏は政界引退となる可能性が
大きい。(読売新聞) - 8月19日

 この選挙区は八代氏優位と見ていたのに。どうしたことか?
ここまで執行部に反旗を翻しながら、ここで恭順になるのはどうなの?お金がないとかなら仕方ないが、変な裏取引があった等という話は聞きたくない。
 東京12区は情勢がわからなくなった。前回私は流石の公明党でも小選挙区当選はないだろうと読んでいたのに見事裏切られた選挙区である。今回は投票率も上がりそうなので民主党公認藤田幸久氏有利と見るのが普通だが、公明党基礎票以外の票を不思議なくらい上積みするので侮れない。

 郵政反対派への対抗馬擁立で自民党は19日、衆院選の第4次公認候補17人を決定し、
郵政民営化実現に向けたマニフェスト政権公約)も発表するなど決戦への準備作業を
加速させた。注目されたライブドア堀江貴文社長(32)は、亀井静香政調会長(68)の
広島6区から無所属で出馬することが決まった。
 郵政民営化関連法案に反対した小西理衆院議員(46)の滋賀2区には、古賀誠元幹事長
の秘書だった藤井勇治氏(55)を擁立。左藤章衆院議員(54)の大阪2区には、昨年の参院
選和歌山選挙区で民主党から出馬して落選した川条志嘉氏(35)を擁立するなど、出馬を予
定する反対組32人への対抗馬は、広島6区に無所属で出馬する堀江貴文氏(32)を含め計29
人となった。

 滋賀2区は元々自民党の弱い選挙区。しかも元議員秘書という地味な人選では勝ち目なし。空白区を無理やり埋めた感が否めない。
 大阪2区の川条氏は勝てる可能性がある。私は刺客候補をほとんど勝てないと切り捨ててきたが、数少ない勝てる候補である。もっとも大阪2区が公明票でほとんど勝敗が決まる選挙区であるが故だが……。

 自民党は二十日、衆院選選挙区の第5次公認候補4人を発表した。郵政民営化関連法案
の衆院採決で反対票を投じた平沼赳夫経産相(66)が出馬する岡山3区に日本看護協会副
会長の阿部俊子氏(46)を、同じく反対票を投じた野田聖子元郵政相(44)が出馬する岐阜1区
にクレディ・スイス・ファースト・ボストン証券チーフ・エコノミスト佐藤ゆかり氏
(44)を擁立した。
 反対派への対抗馬は広島6区無所属堀江貴文ライブドア社長(32)を含め計31人
となり、未擁立は保利耕輔元文相(70)の佐賀3区だけになった。
 武部勤幹事長は記者会見で、阿部、佐藤両氏を比例代表重複立候補させ「女性枠」で
名簿上位に登載する考えを表明。三月まで東京医科歯科大大学院助教授だった阿部氏は
「平沼先生は尊敬申し上げている。努力あるのみだ」と語った。
 上智大出身で野田氏の一年後輩にあたる佐藤氏は「ジェンダー(女性同士)の戦いでな
く政策論争でがんばる」と述べた。
 石川3区で石川県議の北村茂男氏(59)、福島3区で蓮実進国土交通副大臣(72)の公認も
決まった。蓮実氏のもともとの地盤は栃木県で、前回は比例代表北関東ブロックで当選し
ており、県境を越える国替えとなる。自民党公認は286人に達し、公明候補などを除き自民
党が擁立を目指すのは残り4選挙区となった。(産経新聞) - 8月21日

 岐阜1区の佐藤ゆかりもほかのマドンナ刺客と同じで、最初から比例区で上位が約束する引き換えの出馬ですな。まあかなりセンスの悪い小泉マドンナ人選の中ではまともな人材で、小池百合子と違って同性が格好いいと思えるタイプの候補者ですな。でも小選挙区当選はあり得ません。最初から野田聖子圧勝は見えていて、佐藤ゆかりも最初から議員の身分が保証されている。女の戦いと煽るマスコミはお門違い。
 岡山3区の阿部俊子は完全に能勢和子前議員の不出馬で空いた看護枠の補充議員ですね。小選挙区候補としては全くの力不足。看護枠議員の南野さんや能勢さんより賢そうですが、完全な比例区当選要員。
 福島3区は新党日本荒井広幸氏の旧選挙区だが、彼は参議院に移っているので自民空白区状態。いつのまにか民主党玄葉光一郎が強くなっている。こんな田舎なのに。一時代前なら自民党候補がいないと公共事業が来ないという主張が通用して自民党候補の巻き返すチャンスもあったのだが、小泉さんがああいうスタンスを取っている以上、そういった主張もできないので蓮見氏の勝ち目はないであろう。